Journal of Computer Chemistry, Japan
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技術論文
分子骨格操作に伴う分子軌道変化の等値面リアルタイム描画システム
中 貴俊山本 茂義秦野 やす世遠藤 守山田 雅之宮崎 慎也
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2007 年 6 巻 4 号 p. 245-252

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抄録

核座標の変化による分子軌道の変化をリアルタイム観察できる分子軌道可視化システムMOOTICを開発した.このシステムでは,テクスチャマッピングの混合処理による高速なレンダリング方法を適用することによって,変化する分子軌道をリアルタイムに表示できる.あらかじめ,核座標が変化したときの一連の任意数の分子軌道データ(ボクセルデータ)をキーフレームとして構成しておき,次にキーフレーム間の中間状態をテクスチャマッピングの内挿を高速に処理して出来る画像群として表示させることで,一組のキーフレームから中間フレームをリアルタイムに表示するものである.描画を高速化するために,新しい手法を開発した.Microsoft Windows環境下でのシステム適用例として,水素分子の2σg仮想軌道の内部節領域の表示,核間距離の変化による一酸化炭素の分子軌道の変化,レチナール プロトン化シッフ塩基中の二重結合の回転に伴う分子軌道の変化を示す.MOOTICシステムには,高速化等値面表示法のほかに,各種の3D表示方法を取り入れており,これらの表示法を即座に切り替えて表示することができる.本システムは分子軌道の特徴付けに重要な役割を持つ内部節領域の数や形状を観察し,解析することに有効である.

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© 2007 日本コンピュータ化学会
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