2022 年 10 巻 p. 16-26
本研究の目的は,終末期維持血液透析患者の医療・ケア方針の検討にかかわる看護師のジレンマ・曖昧さに対する対処を明らかにすることである。透析部門に勤務する看護師9名に終末期維持血液透析患者に対する看護実践におけるジレンマ・曖昧さを感じた事例とその対処について半構造化面接を行った。面接内容について逐語録を作成,内容分析を行った。終末期維持血液透析患者の医療・ケア方針の検討にかかわる看護師のジレンマ・曖昧さに対する対処として,【患者の真の思いとの対峙】【患者,家族,医師の共通認識の促進】【医師との信念対立がありながらも,患者らしく最期までよりよく生ききることに向けた医師との協働】【医療職者・介護職者間の対話】【透析見合わせの見極めのための身体状態の注意深い観察】【終末期医療体制への妥協】が抽出された。看護師は終末期維持血液透析患者のよりよい最期に向けた話し合いを医師,他職種と行い,協働する必要がある。