重度うつ病を合併した担がん患者の治療について,ジョンセンの4分割を活用した多職種カンファレンスを行い,段階的治療計画を立案・遂行することで患者のQOLが改善した事例を報告した。ジョンセンの4分割を活用した対話は,精神科,身体科双方の情報共有や問題抽出に役立った。また,精神疾患・身体合併症治療における医療的制約を見直す機会となり,患者の意向やQOLを重視した治療方針を検討するために有用であった。精神疾患患者の治療同意能力は,精神科治療によって変動・回復することがあるため,可逆性か否かを判断し,可逆性であればまずは精神的治療を行い同意能力の回復に努めることが望まれている。しかし,本事例では,重度うつ病の治療後も治療同意能力は十分に回復せず,精神疾患の治療で同意能力が回復しない場合の意思決定支援について課題が残った。