【背景・目的】医療同意権は日本国憲法第13条で保障され得る一身専属権であるが,医療者にはあまり知られていない。医師の医療同意権に関する認識を明らかにすることを目的とした。【方法】医師544名を対象として成年後見制度および医療同意権に対する認識についてアンケート調査を行った。【結果・考察】回答率は18.8%。成年後見制度の3類型を知っている医師は2割弱と少なく,さらに,成年後見人に医療同意権がないことを知っている医師は半数未満であった。また,患者本人の同意よりも家族の同意を重視している医師が多かった。意思決定困難症例の医療同意に関する法整備を望む声もあるが,第三者に法的な医療同意権を認めることは医療同意権の一身専属性を揺るがしかねない。成年後見制度の利用の促進に関する法律の趣旨に基づき,成年後見制度が十分に活用されたうえで,成年後見人と医療者が中心となった意思決定支援の動きが社会に浸透することが望まれる。