2017 年 5 巻 p. 27-37
経口摂取ができなくなった高齢者に対して胃瘻を造設し経管栄養を行うかどうかは,高齢者介護施設においてしばしば直面する臨床倫理的問題である.しかし,介護施設職員が意思決定に参画しているか,その意欲があるのかは明らかではない.そこで本研究では,介護老人福祉施設4施設と介護老人保健施設1施設の職員255名に胃瘻造設に関する質問紙を配付し,67名から有効な回答を得た.胃瘻造設を検討中の患者・家族に関わった経験がある者は16名(23.9%),積極的に関わることへの意欲がある者は11名(16.4%)であった.介護施設職員が胃瘻造設の意思決定に関わることに消極的である背景には,医療者と家族との間で決定されるべきという認識や,胃瘻についての否定的感情があることが示唆された.また,患者本人の意向を確認したいという意識があることも明らかになった.今回の結果より,介護施設職員へ臨床倫理教育を行うことの意義を検討する必要があると考える.