臨床倫理
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資料論文
植込型補助人工心臓装着患者の倫理的課題
飯島 祥彦
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2018 年 6 巻 p. 38-47

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抄録

 植込型補助人工心臓(Ventricular Assist Device;VAD)は心臓移植の待機を前提とする治療である。わが国では,心臓移植待機期間が延長し,合併症などのため心臓移植の適応から外れ,事実上のDT(Destination Therapy)に移行した結果,終末期に陥る可能性がある。そのため,植込型VADを実施するにあたっては,装着術に関する説明とともに,終末期に至った場合の治療方針についての説明をしなければならなくなりつつある。

 認定施設64施設を対象に質問紙調査を行い,44施設から回答を得た(回答率68.8%)。植込型VADを実施するにあたって事前指示書を使用するのは17施設(38.6%),その使用時期は装着術の前が12施設(使用施設のうち70.6%)であった。終末期とする判断は,診療科による決定14施設(31.8%),多職種カンファレンス31施設(70.5%),倫理委員会による決定12施設(27.3%)(複数回答)であった。本調査によって,植込型VAD装着の実施におけるインフォームドコンセントのあり方や終末期の取り扱いなどの現状を確認することができた。

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© 2018 日本臨床倫理学会
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