2018 年 6 巻 p. 49-58
先天性もしくは後天的に子宮を失った女性が子どもを得るため手段として,代理懐胎や子宮移植が考えられる。これらをめぐる議論は,個人の願望の達成と全体の秩序の維持をどのように調和させていくのかに帰着する。代理懐胎においては,他の生殖補助医療技術に比して生物学的秩序からの乖離が大きいこと,不妊カップルの希望が叶えられる反面,懐胎する女性のみならず児にとっても好ましからざる結果が起こり得る。一方,子宮の生体間移植の場合,病気のない子宮を健康な女性から摘出することの是非,目的が依頼者の治療ではなく子どもをもつことである場合の臓器移植の是非などについての課題が残されている。代理懐胎と子宮移植については,ともにさまざまな医学的,倫理的,社会的問題が内包されており,その臨床応用にあたっては慎重に対処すべきである。