臨床倫理
Online ISSN : 2435-0621
Print ISSN : 2187-6134
原著論文
日本の医療現場における破壊的行動が医療者の適応状態および患者の安全に及ぼす影響
藤本 学島村 美香稲葉 一人
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2021 年 9 巻 p. 29-40

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抄録

 医療現場における破壊的行動は,患者の安全に深刻な影響を及ぼすものとして,アメリカでは対策が取られてきた。一方,日本では未だ正しい認識がされていないのが現状である。そこで,本研究は日本の医療現場における破壊的行動の性質,および対象となった医療者の適応状態と患者の安全に及ぼす影響について検討した。看護師を対象に,医療現場における破壊的行動に関する質問紙調査を行った。カテゴリカル因子分析により,一見,指導的に見える嫌がらせや言語化されない侮辱行為といった「陰湿な破壊的行動」と,あからさまな拒絶感や直接的な怒り感情の表出といった「露骨な破壊的行動」が特定された。そして,前者の陰湿な破壊的行動は対象となった医療者の心理的・社会的適応状態に,後者の露骨な破壊的行動は患者の安全に,それぞれ負の影響を及ぼすことが明らかになった。最終的に,破壊的行動のタイプに応じた対策の必要性が議論された。

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© 2021 日本臨床倫理学会
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