抄録
近年,種々の神経疾患に対して,その失われた機能を補うために機能的電気刺激が注目されている。その多くは,生体神経組織に対し細胞外空間からパルス通電を行うことにより,神経細胞の電気的活動を直接制御しようとするものである。この場合,ターゲットとなる神経部位や神経細胞に対して必要最低限の電流量を刺激として与えることが,その安全性を保障する上で極めて重要である。本研究では,各種神経細胞の形態と刺激用微小電極との三次元的位置関係に注目し,それが,神経細胞の興奮を惹起するための閾電荷量にいかに影響するのかを,神経細胞のバイオフィジックスモデルを用いた計算機シミュレーションにより解析した。