言語研究
Online ISSN : 2185-6710
Print ISSN : 0024-3914
論文
日本語の授与動詞構文の構文パターンの類型化
―他言語との比較対照と合わせて―
澤田 淳
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2014 年 145 巻 p. 27-62

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抄録

一般に,日本語の本動詞型(A型),補助動詞型(B型)の授与動詞構文は,それぞれ,物の授受,事態の授受を表すとされることが多い。本稿では,事態の授受を表すとされる日本語の補助動詞型の授与動詞構文(「てくれる/てやる」構文)が4つの構文パターン(B1α型,B1β型,B2型,B3型)に分類できることを示す。さらに,日本語の授与動詞構文の構文パターンの分類をもとに,幾つかのアジアの諸言語(韓国語,マラーティー語,中国語)の授与動詞構文(「V+授与動詞」構文)との比較対照を試みる。最後に,これらの言語との対照研究から得られるインプリケーションとして,授与動詞の構文パターンの範囲に関する通言語的な含意階層(A型<B1α型<B1β型<B2型<B3型)が提出できることを論じる。

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© 2014 日本言語学会, 著者
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