抄録
放電メカニズムの解明には、高精度なプラズマ診断法による気体温度の計測が不可欠である。放電プラズマに擾乱を与えないスペクトル分光計測法は発光強度の比較的強い低気圧で多く研究されている。本報告では、極めて微弱な発光である大気圧の室空気(絶対湿度:11.3~12.6[g/m3])と合成空気(N2/O2(21%)混合ガス)中の負極性コロナの回転温度Tr[K](≒Tg:気体温度)を高感度分光計測で導出している。その結果、合成空気と室空気では放電発光の形状が異なり、破壊電圧に約6[kV]、そして破壊前の気体温度に約200[K]の差が出た。また、室空気の絶対湿度の差で気体温度の明確な変化は認められなかった。