抄録
超電導コイル中の導体の電磁力による運動はコイルの安定性に重大な影響を及ぼす。これを抑制するため従来,巻き線時に十分な張力を加えて巻く等の対策が取られているが,経験に基づいた設計が大部分である。単純な円筒ソレノイド型の場合にも巻き枠とコイル導体の熱収縮の差による張力の解放の問題があり,他にも大きな張力が加えられないコイル構造や,多層パンケーキ巻のように電磁力が非対称となり,導体が動き易いコイル等が増えてくると思われる。ここではこの課題を解決するための基礎として巻き線時の応力,熱収縮を考慮して電磁力によりコイル内の導体がどのように振る舞うかを有限要素法により検討した結果を述べる。