主催: 電気関係学会九州支部連合会
経頭蓋磁気刺激(TMS)は,電磁誘導により渦電流を脳内に誘起させることで非侵襲に脳神経を刺激する手法であり,脳機能研究や精神疾患治療の分野に応用されている.
刺激目標への適切なTMSのためには,コイルの位置や大きさなどのコイル条件を最適化する必要がある.しかし脳内の渦電流分布の測定は困難であるため,条件設定は経験則に基づいているのが現状である.
本論文では,最適なコイル条件を求めるためのシミュレーションを行った.人間の解剖学的データに基づいた頭部モデルを作成し,言語野のブローカ野とウェルニッケ野におけるそれぞれの刺激位置,コイルの大きさ,電流の大きさ等のコイル条件の違いによる電流分布の変化を調べた.