抄録
電力用変圧器内部の異常には、過熱を伴うものと放電を伴うものとがある。それらの異常を的確に診断することが、変圧器保守管理上の重要な課題となっている。これまでに、絶縁破壊の前駆現象である部分放電(PD)の発生・測定と、油入変圧器の診断技術である油中ガス分析を可能とするシステムの構築を行った。さらに、本システム中の試験容器を改良し、変圧器内部の過熱異常模擬を可能とすることで、変圧器の過熱異常の目安とされる低温過熱(~300℃)について検討を行なった。本稿では、絶縁油の局所加熱によって発生する油中分解ガスを定量・評価し、得られた結果をもとに発生ガス量推定の可能性を示した。