抄録
著者等はアナログ受信回路の簡素化と低消費電力化を目的として,受信側で低分解能ADCを用いる定包絡線位相変調システムを提案した.低分解能ADCを用いる場合,量子化雑音の発生により,通信品質が劣化する.その影響を軽減する手法として,MLSEを適用することが有効であるが,その推定精度向上のため候補系列に対して高いサンプリングレートでAD変換を行う必要があり,最尤系列の探索にかかる計算量が膨大となる.本論文では,候補系列の量子化雑音を簡易な予測関数を用いて推定し,候補系列数を縮小しながらMLSE演算を繰り返す手法を提案した.提案方式は,計算量の増加を抑えながら従来と同等の伝送特性が得られることを示す.