抄録
色素増感太陽電池の高効率化の手段として、二色素分離吸着構造にする方法がある。これは、太陽光を有効に利用するため、異なる吸収帯をもつ2つの色素を酸化チタン膜に層分離させて吸着させる方法である。しかし、この方法では膜が厚くなり、電解液中でのイオン拡散が光電流の律速過程となる問題が生じる。そこで、本研究では、イオンパスの拡大のために空隙層を設けた酸化チタン膜に対して、分離吸着構造の適用を試み、各吸着層の厚みを制御する方法を考案した。その結果、全膜厚が30μmにおいて、色素にN719とBlack dyeを用いた場合、吸着層の膜厚比が1:9のとき、効率の最大値8.35%が得られた。