抄録
Nd-Fe-B磁石の保磁力はその異方性磁界から期待される値に比べて遥かに小さい。その要因として、近年Nd-Fe-B磁石の保磁力に粒界相が重要な役割を果たすことが明らかになりつつある。粒界相が非磁性の場合、粒界相がピニングサイトとなり保磁力向上に効果的とされる。しかし、現状の焼結磁石では粒界相は強磁性であることが示唆されている。粒界相が磁性を有する場合には、粒界相と主相間の交換結合が磁石の磁気特性に大きな影響を及ぼすことが予測される。本研究では、主相と強磁性結合する粒界相を有するNd-Fe-B磁石の磁化反転過程をマイクロマグネティクス理論に基づく計算機解析を用いて検討した。