抄録
マルコフ連鎖モンテカルロ法は大規模な状態空間を持つような対象の総数や体積を計算する際に効果的な計算手法である.中でもランダムサンプリングを行うことが困難な問題に対してその効果を発揮する.格子グラフ上の同じ頂点を2度通らないような経路の総数は,格子数が増えるほど膨大になり,決定的な数え上げは困難となる.本研究では,経路の総数についてMCMC法を用いた乱択数え上げ法を提案する.極限分布が定常分布となるマルコフ連鎖を設計し,これを用いてサンプルを生成し,再帰的なモンテカルロ法を設計することで近似値を計算する.