抄録
農作物や生鮮食品などの流通・加工過程において,殺菌・消毒技術は安全性の確保のために必要不可欠で,さらなる向上が求められる.そこで我々はプラズマによる農作物の殺菌・消毒を提案している.プラズマ殺菌は薬品を使用せず,低温およびドライプロセスでの殺菌が可能であるため,新規的な殺菌・消毒手法となり得る.本項では誘電体バリア放電により生成したプラズマで,ウンシュウミカン(Citrus unshiu)果皮に付着したミドリカビ病菌(Penicillium digitatum)への直接的な処理の殺菌特性について調査した.電極の誘電体厚さを5mmから0.05mmとし,プラズマ処理を行った.誘電体厚さが3mm以下でミドリカビ病菌胞子の速やかな不活化が認められ,高い殺菌効果が示唆された.