大日本窯業協會雑誌
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セメントの細かさに關する研究 (第7報) 粉末の粒子分布状態と粉碎機構
中條 金兵衞
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1939 年 47 巻 564 号 p. 616-622

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抄録

各種物質のボールミル, テューブミルによる粉末の粒子分布状態を表す最も妥當性ある法則を發見する爲, 既往に於ける諸家の研究を調査吟味する必要を感じ, 本報告に於ては先づG. Martin, P. Rosin, G. Rothfuchs, E. Szinger四氏等の研究を紹介し, これに數學的檢討を加へつつ批判を試みた. これを要約摘記すれば,
(i) G. Martin氏等が珪砂粉末の粒子分布状態探究に拂つた勞力の大なるは窺はれるが, 顯微鏡により分布を直接測定する素朴な研究法を採用した爲, 誤差, 人爲的要素等の混入により眞の姿を表現する法則に到達し得なかつた.
(ii) P. Rosin氏等の得た法則は著者の到達した所と同じであるが, 測定法, 基礎事項の探究に不滿の點あり, 更に多くの實驗的事實と詳細精密なる試驗とにより精査吟味する必要を感ぜしむ.
(iii) G. Rothfuchsは鎚の單純打撃により生じた玄武岩粉末の粒子分布測定よりparabolic formulaを提案してゐるが, これを直ちにセメント粉末に適用せんとしてGonell氏の實驗結果を借用, 圖解してゐるが, 著者の數値計算の結果, 同例によつて却つて筆者等の殘滓函數の正當を證することが出來た.
(iv) E. Szingerは各種粉末の粒子分布探究によりD=(x/c)mなる實驗式を提起してゐる. 併し著者の檢討によれば該式の適用性は粒子徑の小範圍に限られる. 更に廣範圍にまでも妥當する法則は矢張り著者等の主張する殘滓函數にあることを明示し得た.

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© The Ceramic Society of Japan
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