抄録
水酸化マグネシウム, 石灰石, 滑石, 螢石, 蝋石, 朝鮮カオリン, 長城粘土及長石の8種の原料にNH4Cl 0, 1, 3, 5%の各量を添加し1000℃以下に於て熱天秤による減量測定及示差熱電對による加熱分解試驗を行ひNH4Clの作用をしらべた. 更にNH4Clの作用がNH4Cl構成成分の何れに關するかの實驗の内, 石英硝子及び無定形沈澱珪酸をNH3, HCl, NH3+HCl瓦斯中 (水素及鹽素ガスの場合は後日にゆづる) に加熱してその變態状態を顯微鏡及X線的にしらべでみた.
之等實驗の結果は大約次の樣であつた.
(1) 水酸化マグネシウム, 石灰石, 滑石, 蝋石, 朝鮮カリオン, 長城粘土等はNH4Clの添加によつて脱水又は解離温度を著しく低下する.
(2) 螢石, 長石は實驗範圍内では別に認むべき變化がなかつた.
(3) HCl瓦斯は鑛化作用顯著でありNH3は餘り效果的でない. NH4Clの鑛化作用は解離したHClによることが考へられる. そしてその水素によるか鹽素によるかについては明かでないが恐らく鹽素の作用に基づくものと考へられる.
因に本研究は故近藤清治博士の御指導により東京工業試驗所高松奨學資金及東京工業大學故吉武博士記念奬學資金の援助によつて行つた. 又田崎孝夫君の助力を受けた. 茲に感謝の意を表する次第である.