大日本窯業協會雑誌
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セメントの細かさに關する研究 (第11報)
粉末の粒子分布状態と粉碎機構
中條 金兵衞
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1943 年 51 巻 604 号 p. 206-213

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抄録

本報は前報告第9, 10號に於て密封型ボールミルによる粉碎粉末の粒子分布状態と粉碎機構に就て行つた論議に引續き, 連續供給の工場用大型チユーブミルによる場合の諸現象とその理論的穿さくとを述べ來つたもので, 要約すれば下記の如くである.
(i) 本報の研究に供したユニダンミルの概況, 能力, 機能等に就いて説明した.
(ii) 上記ユニダンミル内に這ひ込み, 碎料 (セメント燒塊+石膏) の表面と内部とからミル軸に沿つて採取した23種の粉末に就て, その粉末度を風篩器と4900孔篩とによつて詳細に調べた.
(iii) 上記試料23種の粉末度を圖と表によつて示し, 又前報に於てボールミル内の粉碎現象に關して求めた累加粉碎, 累加分布の兩法則がこの連續供給のユニダンミルの場合にも妥當するや否やを檢討した.
(iv) 累加粉碎, 分布の兩法則はユニダンミルに就ても成立することを明かにした. 他方ユニダンミルの場合, ボールミルに比して現象を複雄ならしめてゐる諸因子を探究し, それ等を詳細に檢討した.
(v) 上記因子の一つとしてユニダンミル各室の粉碎能率の相違が擧げられる. これはミル入口から試料採取個所までの距離とボールミルの運轉時間との對應性を稀薄ならしめることを詳述した.
(vi) 更に他の因子は碎料の長大ミル内に於ける不均一流である. これは碎料の表面, 内部からの採取試料の粉末度の相違によつて, 又人爲的に行はれた石膏添加の中止, 更に添加によつて起るセメントの硫酸分及び粉末度の變化過程の考察によつても明かにされた. 供試ユニダンミルの入口より出口に達するに速きは17分, 遲きは100分を要する粉末部分のあることが判つた.
(vii) 以上明かにされた諸事實を以て既報 (第9, 10報等) を囘顧するに, ボールミルに就いて成立した累加粉碎, 累加分布の法則は碎料を連續供給のユニダンミル内に於ても成立し, その普遍妥當性が益々擴大強化された.
(viii) 以上の累加分布の法則に據つて, 第6報に提案した粉碎粉末の比表面積測定法は, 愈々理論化合理化された譯でAN式風篩裝置の活用が重視されねばならぬが, これ等の綜合結果の應用例として4900孔篩による殘滓量と上記風篩器による15μ以上の殘滓量との關係を市販セメント49種, ボールミルによる燒塊粉末16種について求め, それを檢討の結果, 累加粉碎の法則の正しきことを再確認し得た. 又4900孔篩による粉末度測定法が如何に無意味かを示した.

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© The Ceramic Society of Japan
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