1977 年 85 巻 982 号 p. 294-299
16Na2O・12CaO・72SiO2(wt%) ガラスおよび40CaO・20Al2O3・40SiO2(wt%) スラグガラスの転移点付近およびそれ以下の温度におけるカルシウムイオンの自己拡散係数が測定された. トレーサーには45Ca, 計数にはGM管計数装置, ガラスのセクショニングには1ミクロン前後での化学エッチング法が用いられた. 得られた両ガラスのD*Caは非常に小さい値であり, カルシウムイオンが固体ガラス中ではきわめて動きにくいものであることを示した. またカルシウム拡散の活性化エネルギーは, 両ガラスとも約60kcal/molであったが, これは結合エネルギー的にほぼ妥当な数値であると思われる.
一方, スラグガラスのD*Caが同じガラスのD*oxyとほぼ等しい値であるのに反して, ソーダ石灰ガラスでは, D*CaがD*oxyより約一桁大きい値となったが, この挙動の差をアルカリイオンの共存による外部要因的な効果から来るものと推定した.