窯業協會誌
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85 巻, 982 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 加藤 修三, 伊賀 武雄
    1977 年 85 巻 982 号 p. 253-257
    発行日: 1977/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    α-アルミナの焼結性に及ぼす母塩の結晶性の影響をしらべた. 母塩 (NH4AlO(OH)HCO3) は異なる条件で調製されたI及びRの2系列から成る.
    I系α-アルミナ粉末の焼結性は母塩の結晶性が悪くなるに従ってよくなる. これに対し, R系α-アルミナ粉末は母塩がよい結晶性を持つにもかかわらず, I系の結晶性の悪い母塩からの粉末に匹敵するよい焼結性を示した.
    これは母塩の1次粒子がよい分散性を示すためと思われる.
  • 高嶋 廣夫, 斎藤 肇
    1977 年 85 巻 982 号 p. 257-263
    発行日: 1977/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    珪酸塩ガラス, 硼珪酸塩ガラスが分相することによって起こる赤外線反射スペクトルの変化の帰属について検討し, 次のような結果を得た.
    同一組成の珪酸塩ガラスがガラス状態として均一相から分相状態へと変化することにより, Si-O-Si結合に起因する主ピークは高波数側にシフトする. 同結合によるもう一つの1200cm-1付近のピークも高波数側にシフトし, 且つシャープになる. ガラス組成によっては分相することにより主ピークの低波数側に肩が生ずる. これは二相に分離した一方のガラス相のSi-O-Si結合によると考えられ, そのガラス相は, 他方のガラス相より修飾イオンを多く含有している相である. 次に硼珪酸塩ガラスが分相すると1150cm-1と1220cm-1付近にピークが生じた. 前者は〓B-O-|Si|結合によると考えられ, 後者は〓B-O-B〓結合によると考えられる.
  • 頓行 宏
    1977 年 85 巻 982 号 p. 263-268
    発行日: 1977/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    K2O-AlF3-B2O3系のガラス化範囲を明らかにした. この3成分系ガラス中に溶存させたVO2+の光吸収スペクトルと0.25K2O・0.15AlF3・0.60B2O3および0.25K2O・0.20AlF3・0.55B2O3ガラスのAlKα発光X線スペクトルを測定し, K2O-AlF3-B2O3系ガラス中のAl原子の結合様式についての検討を試みた. その結果, K+[K+AlO3F3-]-群がガラス中に存在するとした場合と, K+[K+AlO3F3-]-群に加えてK+[K+(O3B-O-AlF3)-]-あるいはK+[K+(O3Al-O-BF3)-]-群の混在を考えた場合に, VO2-にもとづく光吸収スペクトルのガラス組成依存性が説明付けられた.
  • 高木 茂栄, 山口 悟郎
    1977 年 85 巻 982 号 p. 268-272
    発行日: 1977/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    MgO・Al2O3正スピネルにおける構成元素の配位構造ならびにAl2O3の過剰固溶に対して生成する陽イオンvacancyと配位構造の変化に関する情報を得ることを目的とし, MgO・Al2O3-MgO・nAl2O3系合成物を得, 特性X線放射スペクトルに現われるchemical effectsの立場から検討した.
    実験結果によればAlKα, KβおよびMgKαとこれらのsatelliteのスペクトルはnの値が1から1.8まで変化してもほとんどchemical effectsが相互間の差異として観測され得なかった.
    一方OKαのスペクトルにおいてはnの値が1から1.8と増大するに伴い高エネルギー側へのshiftが観測され, またスペクトルの半価幅および非対称性指数は増大していた. このことからMgO・nAl2O3構造中のMg2+およびAl3+の分布はnの増大に対し変化はなく, O2-のみ変化が生じているものと推測される.
  • 西野 忠, 桜井 正
    1977 年 85 巻 982 号 p. 273-277
    発行日: 1977/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    BaO-TiO2系化合物とCr2O3との反応においてBaO-TiO2-Cr2O3系の新しい3元化合物を見出し, その組成, 生成機構について検討した. 2BaO・TiO2 (B2Tと略す)-Cr2O3系では, BaCrO4最高生成率は90%を示し, BaO・TiO2(BT)-Cr2O3系においてもBaCrO4の生成率は80%が最高であった. これらの事実と, 稀塩酸不溶残のX線回折結果からBaO-TiO2-Cr2O3系の新化合物生成が明らかとなった. この化合物の組成式をdisappearing-phase法によって検討したところBaO・5TiO2・Cr2O3で示され, 格子定数a0=7.11Å, c0=8.50Åの正方晶系に帰属することが判明した. 出発混合物, BaCO3+5TiO2+Cr2O3を空気中で加熱すると初期にBaCrO4を与え, 続いてBaCrO4-TiO2反応により上記3元化合物が生成する機構が考えられた. また, この化合物はCr2O3をFe2O3で置換した化合物BaO・5TiO2・Fe2O3 (正方晶a0=7.14Å, c0=8.54Å) と同形で全域固溶を示した.
  • 高橋 武彦, 桑原 勝美
    1977 年 85 巻 982 号 p. 277-281
    発行日: 1977/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Al2O3 73.9-92.6重量% (w/0) の領域におけるβ-Al2O3の生成を熱的, X線的に検討した.
    1000℃, 3時間窒素気流中で焼成した試料は, (1) Al2O3低組成域でβ-Al2O3, NaF, およびNa3AlF6の混合相, (2) Al2O3 86.7w/0でβ-Al2O3単一相, (3) 高Al2O3組成域でβ-Al2O3とα-Al2O3との混合相であった.
    示差熱曲線において730-780℃で始まる発熱ピーク温度はAl2O3組成増大とともに780℃から840℃へ上昇し, AlF3の昇華による重量減少率はAl2O3含有量の増加に伴って減少した. 発熱ピーク温度はβ-Al2O3生成反応に相応することがX線回折により明らかとなった.
  • 李 卿喜, 志村 優, 大門 正機, 近藤 連一
    1977 年 85 巻 982 号 p. 281-286
    発行日: 1977/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    石灰珪酸系水熱反応を181℃, CaO/SiO2=0.8の条件でスラリー状態で行った. 液相のSiO2濃度, CaO濃度測定を行い次の結論を得た.
    1) 石英の溶解度はほぼ205mg/lになる.
    2) Ca(OH)2が溶解平衡に達するには長時間を要する.
    3) Ca(OH)2-石英系の水熱反応における溶液組成は初期においてはCaOの濃度が非常に高く, CaO/SiO2モル比が高い生成物が生成され反応が進むにつれα-C2SH→C-S-H(I)→tobermorite, C-S-H(II)→C-S-H(I)→tobermotiteへの反応が進むが石英が残存する間はこれら反応によりSiO2が消費される速度に比べ石英の溶解速度が速く, 溶液のSiO2濃度は上昇する.
    4) カオリンの存在により, 石英単独の溶解はおさえられる.
    5) Ca(OH)2-石英系水熱反応に対するカオリンの反応遅延効果は, 主にカオリン中のアルミナが石英の溶解をおさえる作用によると考えられる.
  • 大塚 淳, 中村 博
    1977 年 85 巻 982 号 p. 286-294
    発行日: 1977/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    CoO-MgO-ZnO系固溶体の生成と発色を検討した. 試料は, 各酸化物を所定のモル比に配合し, 1200, 1300, 1400, 1500℃の各温度で1h焼成して得た. X線分析により, 固溶体の生成を検討, 格子定数を算出した. 1400℃での結果を要約すると, 次の通りである. 1) Co2+は4, 6両方の配位選択性を示すので, CoOの周辺領域では, 岩塩型 (Co, Mg, Zn) O固溶体と共に, CoOCo2O3 (スピネル) 系固溶体が観察された. 2) ZnOはMgO側へ約35mol%, CoO側へ30mol%程度, またZnO側へMgOは約10mol, CoOは約20mol%それぞれ固溶した. 3) 岩塩型固溶体の生成領域はかなり広いが, ウルツァイト型固溶体では狭い. 4) 岩塩型固溶体のCo2+〓Mg2+置換では, 結合性が変わるため, 格子定数変化が直線的にならない. 5) 岩塩型固溶体の色調はピンクで, 6配位Co2+の吸収が観察された. コバルトグリーンの鮮明な色調は, 4配位Co2+の吸収によるもので, ウルツァイト型 (Co, Zn) Oおよび (Co, Mg, Zn) O系固溶体に観察された.
  • 寺井 良平, 大川 英次
    1977 年 85 巻 982 号 p. 294-299
    発行日: 1977/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    16Na2O・12CaO・72SiO2(wt%) ガラスおよび40CaO・20Al2O3・40SiO2(wt%) スラグガラスの転移点付近およびそれ以下の温度におけるカルシウムイオンの自己拡散係数が測定された. トレーサーには45Ca, 計数にはGM管計数装置, ガラスのセクショニングには1ミクロン前後での化学エッチング法が用いられた. 得られた両ガラスのD*Caは非常に小さい値であり, カルシウムイオンが固体ガラス中ではきわめて動きにくいものであることを示した. またカルシウム拡散の活性化エネルギーは, 両ガラスとも約60kcal/molであったが, これは結合エネルギー的にほぼ妥当な数値であると思われる.
    一方, スラグガラスのD*Caが同じガラスのD*oxyとほぼ等しい値であるのに反して, ソーダ石灰ガラスでは, D*CaがD*oxyより約一桁大きい値となったが, この挙動の差をアルカリイオンの共存による外部要因的な効果から来るものと推定した.
  • 作花 済夫
    1977 年 85 巻 982 号 p. 299-305
    発行日: 1977/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ガラス中のAl3+イオンの配位数を調べるためにAlKα1, 2蛍光X線の化学シフトを測定した. GeO2を60および70モル%含み, 0.5-1.5のAl2O3/CaO比をもつNa2O-Al2O3-GeO2ガラスにおいて, 化学シフトはすべて正長石の値にほとんど等しく, Al3+イオンはガラス中で4配位であることがわかった. CaO-Al2O3-B2O3ガラスの化学シフトは, Al2O3/CaO比にはよらず, B2O3含有量が増すにつれて増し, Al3+イオンの平均配位数はB2O3含有量の増加とともに増すことがわかった. Al2O3およびP2O5以外の諸種の成分を含みP/O比の異なる広範囲の組成の燐酸塩ガラスについて化学シフトを測定したところ, 比が0.333付近のガラス (メタ燐酸塩に対応する) はかなりの割合の6配位Al3+イオンを含んでいるのにたいし, 比が0.25 (オルソ燐酸塩に対応する) またはそれ以下のガラスはほとんどすべてのAl3+イオンを4配位で含んでいることがみいだされた.
  • 丸田 俊久, 峯岸 敬一, 古谷田 武満
    1977 年 85 巻 982 号 p. 305-307
    発行日: 1977/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    日本工業規格法 (JIS R 5202) によればセメント中の鉄の定量は, 鉄 (III) の還元剤として塩化第一錫を用いるように規定されている. それ故, 過剰の塩化第一錫を酸化するため塩化第二水銀を加える必要がある. 廃液中に含まれる塩化水銀による環境汚染防止を目的とし, 塩化第二水銀を必要としない, 亜鉛還元-重クロム酸カリウム滴定法を検討した.
    亜鉛粉末は塩酸溶液中の鉄 (III) を鉄 (II) にスムーズに還元し, かつ安価である. セメント中に含まれる8種類の共存イオンすなわちナトリウム, カリウム, マグネシウム, カルシウム, アルミニウム, 珪素, チタン及び硫酸塩は各々鉄の定量値に干渉を示さなかった.
    提案した方法によって得られたセメント中の鉄の分析結果はJIS法による定量値とよく一致した. 分析時間は全操作を通じて約30分であり, 本法がセメント中の鉄の分析に有効であることが明らかになった.
  • 神谷 寛一, 作花 済夫
    1977 年 85 巻 982 号 p. 308-309
    発行日: 1977/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 85 巻 982 号 p. A34-A36
    発行日: 1977/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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