CoO-MgO-ZnO系固溶体の生成と発色を検討した. 試料は, 各酸化物を所定のモル比に配合し, 1200, 1300, 1400, 1500℃の各温度で1h焼成して得た. X線分析により, 固溶体の生成を検討, 格子定数を算出した. 1400℃での結果を要約すると, 次の通りである. 1) Co
2+は4, 6両方の配位選択性を示すので, CoOの周辺領域では, 岩塩型 (Co, Mg, Zn) O固溶体と共に, CoOCo
2O
3 (スピネル) 系固溶体が観察された. 2) ZnOはMgO側へ約35mol%, CoO側へ30mol%程度, またZnO側へMgOは約10mol, CoOは約20mol%それぞれ固溶した. 3) 岩塩型固溶体の生成領域はかなり広いが, ウルツァイト型固溶体では狭い. 4) 岩塩型固溶体のCo
2+〓Mg
2+置換では, 結合性が変わるため, 格子定数変化が直線的にならない. 5) 岩塩型固溶体の色調はピンクで, 6配位Co
2+の吸収が観察された. コバルトグリーンの鮮明な色調は, 4配位Co
2+の吸収によるもので, ウルツァイト型 (Co, Zn) Oおよび (Co, Mg, Zn) O系固溶体に観察された.
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