窯業協會誌
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多結晶マグネシアの粒子成長にともなう粒界移動に及ぼす気孔の影響
浜野 健也上薗 裕史
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1977 年 85 巻 984 号 p. 390-396

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抄録

相対密度の異なる2種のマグネシア焼結体を1500℃で種々の時間再加熱した後, 試料表面に現われた熱エッチング像を顕微鏡観察することによって, 粒界の移動, さらにそれと気孔との関連などについて検討した. 再加熱による粒子成長は, 速度論的には2乗則 (D2-D02=k(t-t0), DD0はそれぞれ時間tt0での粒径, kは定数) に従うことが認められたが, 微構造的には粒界移動は複雑で不連続であり, また粒界の移動方向と見掛けの曲率中心の方向との間には簡単な関係は見出されなかった. 低密度試料 (相対密度: 95.8%) の表面部では, 気孔によって粒界移動が一時的に抑制されていた小さい粒子が突然大きな粒子に再加熱中に合体成長することが観察され, 合体成長する直前には粒度分布が広がる傾向が認められた. さらに, 再加熱前の2種の試料の内部の粒度分布の比較から, 試料内部においてもこのような粒子の合体成長が起こっていると推定された. 表面部の粒子成長は主として, 粒界の交角120°による安定化, 熱グルービング, 気孔などにより抑制されており, 特に気孔による影響が著しく大きいことがわかった. また試料内部では気孔による影響が相対的に小さくなると推定された.

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© The Ceramic Society of Japan
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