窯業協會誌
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85 巻, 984 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 坂本 栄治, 山田 昭朗
    1977 年 85 巻 984 号 p. 367-374
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    白土 (南九州産の火山灰) をアルカリ水熱処理してフィリップサイト型ゼオライトを生成するときの機構を速度論的に考察した.
    アルカリ水溶液中に白土を溶解すると, 逐次ゲル状沈澱物を生じる. このゲル状沈澱から自触的にフィリップサイト型ゼオライトが生成する.
    白土k1E1溶解k2E2ゲル状沈澱: 一次反応 ゲル状沈澱+ゼオライトk3E3ゼオライト: 二次反応 各段階の見かけの活性化エネルギーとして, E1=16, E2=11およびE3=3kcal/molを得た.
    アルカリ濃度が低いか, または温度が低くて反応速度が遅いときは, 溶液から再沈澱したゲルからばかりではなくアルカリに浸蝕された白土からも直接ゼオライトが生成することを認めた.
  • 水野 正雄, 山田 豊章, 野口 哲男
    1977 年 85 巻 984 号 p. 374-379
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ヘリオスタット式太陽炉を用いて試料を熔融, 急冷し, その冷却曲線から試料の凝固点を求め, Al2O3-Sm2O3系の液相線を測定した. 熔融試料についてX線回折, 偏光顕微鏡観察および化学分析を行い, 生成相を調べた.
    SmAlO3の単一相は, 1300℃, 1600℃に加熱処理したものおよび熔融後急冷した試料から観察された. この化合物の凝固点は2104±20℃で, 高温X線回折の結果750℃付近の温度で斜方晶系から菱面体晶系に可逆転移することを認めた.
    化合物の格子定数の変化は, a0=5.301Å, b0=5.295Å, c0=7.503Å〓a0=5.284Å, α=60°43で, その単位格子胞の体積変化は, ΔV=0.16%でわずかであった.
    2Sm2O3・Al2O3の単一相は, 1600℃で60時間で加熱処理したものおよび熔融後急冷した試料に生成した. この化合物の凝固点は1977±20℃であった.
    この化合物の格子定数はa0=7.52Å, b0=10.70Å, c0=11.19Å, β=108.9°であった.
    この系における共晶点はSm2O3 24mol% (1755℃), 61mol% (1910℃) および80mol% (1880℃) 組成にそれぞれ認められた.
    Al2O3, SmAlO3および2Sm2O3・Al2O3の冷却曲線は冷却の進行に伴い過冷却現象があらわれ, 次いで凝固による発熱現象が明瞭に観察された. 一方Sm2O3の冷却曲線は, 冷却の過程において凝固点以下での固相における構造変化を示す発熱ピークが認められた.
    これらの結果からAl2O3-Sm2O3系に対する高温平衡状態図を推定した.
  • 進藤 勇, 小松 啓
    1977 年 85 巻 984 号 p. 380-384
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    PbO-PbF2-B2O3を融剤として用いた徐冷法によるYAG単結晶の合成について検討した. (1) 最初にPbO, PbF2, 及びPbO-PbF2-B2O3混合融剤に対するYAGの溶解度曲線を800-1300℃の範囲で, 白金カプセルを使用する重量減少法により求めた. 溶解度差が最大なのは, PbO-PbF2-B2O3混合融剤の場合であるが, 収率の点では, PbO融剤が最も有利であることが判明した. (2) そこで, PbO-PbF2-B2O3混合融剤を用いて, YAGの育成実験を行った. その際, 白金坩堝上下に, 下部が低くなるよう, 0-15℃/cmの温度差をつけ, 1.3°, 2.6°, 5.2°および10.4℃/hの各徐冷速度で育成実験を試みた. その結果, 良質単結晶の合成条件としては, 坩堝上下の温度差: 6℃/cm以上, 徐冷速度: 2.6℃/h以下, 徐冷開始温度1300℃以上が必要であることが判った. (3) 生成結晶のファセットは {110} が大部分であり, {211} は稀で, {211} のみで囲まれた結晶は全く生成しなかった. この傾向は, 高温での初期成長域でも同様であり, {110} が優位であった. (4) この系の融剤を用いて, YAG結晶を合成する場合, 約950℃以下では, 生成結晶は再溶解するという報告があるが, 溶解度の測定結果, 850℃までの合成実験のいずれによっても, このような再溶解現象は, 見出されなかった.
  • 南 努, 藤川 信儀, 田中 雅美
    1977 年 85 巻 984 号 p. 384-389
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Na2O-GeO2系ガラスの電気伝導と誘電的性質を, Na2O含量が3-27mol%の範囲で組成の関数として調べ, つぎのような結果を得た. 7mol% Na2Oの組成近傍で伝導度は極小となり, 平均の誘電緩和時間と伝導や緩和の活性化エネルギーは極大を示した. 伝導と緩和の活性化エネルギーは実験精度内でよく一致しており, この活性化エネルギーを, アンダーソンとスチュアートの方法に従って弾性歪エネルギーと静電エネルギーとに分けて解析した. その結果, 前者はNa2Oが10mol%近傍までかなり急激に増大して以後漸減するが, 後者は単調に減少することがわかった. そして弾性歪エネルギーに見られる極大が, 電気的性質の組成依存性に現われる “異常性” に支配的に寄与しているものと結論した. またNa2O添加に伴う六配位ゲルマニウムGeO6構造単位の形成は, ナトリウムイオンの移動に対して歪エネルギーの顕著な増加をもたらすものと推論した.
  • 浜野 健也, 上薗 裕史
    1977 年 85 巻 984 号 p. 390-396
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    相対密度の異なる2種のマグネシア焼結体を1500℃で種々の時間再加熱した後, 試料表面に現われた熱エッチング像を顕微鏡観察することによって, 粒界の移動, さらにそれと気孔との関連などについて検討した. 再加熱による粒子成長は, 速度論的には2乗則 (D2-D02=k(t-t0), DD0はそれぞれ時間tt0での粒径, kは定数) に従うことが認められたが, 微構造的には粒界移動は複雑で不連続であり, また粒界の移動方向と見掛けの曲率中心の方向との間には簡単な関係は見出されなかった. 低密度試料 (相対密度: 95.8%) の表面部では, 気孔によって粒界移動が一時的に抑制されていた小さい粒子が突然大きな粒子に再加熱中に合体成長することが観察され, 合体成長する直前には粒度分布が広がる傾向が認められた. さらに, 再加熱前の2種の試料の内部の粒度分布の比較から, 試料内部においてもこのような粒子の合体成長が起こっていると推定された. 表面部の粒子成長は主として, 粒界の交角120°による安定化, 熱グルービング, 気孔などにより抑制されており, 特に気孔による影響が著しく大きいことがわかった. また試料内部では気孔による影響が相対的に小さくなると推定された.
  • 市古 忠利
    1977 年 85 巻 984 号 p. 397-403
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ボーンチャイナの焼成過程を究明するための基礎資料を得ることを目的に, カルシウム燐酸塩とアルミノ珪酸塩との固体反応において, 主として拡散成分と拡散方向を白金マーカー法とEPMAで決定し, また反応による各種結晶相生成過程を粉末X線回折法で調べた.
    CaHPO4・2H2Oから生成したCa2P2O7はその燐酸成分の一部が, また水酸アパタイトはその石灰成分の一部がそれぞれアルミノ珪酸塩中に拡散してCa3(PO4)2に変化した. 生成したCa3(PO4)2は固相反応ではアルミノ珪酸塩と反応せず構造変化は認められなかった. 固相反応において拡散成分のうち燐酸成分は粘土鉱物中に拡散してその融解を促進し, また石灰成分は同様に粘土鉱物中に拡散してアノーサイトを生成した. 拡散は被拡散物質の結晶構造の影響を受け, カオリナイトが最も拡散を受け易かった. 石灰成分と粘土鉱物の反応によるアノーサイトの生成における初期生成反応性はパイロフィライト, セリサイトがカオリナイトより優れていた.
  • 難波 典之, 山口 喬
    1977 年 85 巻 984 号 p. 404-408
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    電気抵抗率の測定によりCuFe5O8のCuFeO2とFe2O3への共析変態を200-1050℃で研究し, この方法が固体反応過程においては有用な情報を提供し得ることを示した.
    分解により抵抗率の急増が認められ, その温度は速度に依存し, 特に加熱時よりも冷却時において著しい. パーライト型組織の方がベーナイト型組織よりも低い抵抗率を与える. 加熱速度が分解後の抵抗率および組織に及ぼす影響は認められなかった. CuFe2O4およびFe3O4を添加すると分解は阻害されることがわかった.
  • 三友 護
    1977 年 85 巻 984 号 p. 408-412
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    窒化珪素に10-50wt%のAl2O3-Y2O3等モル混合物を加え, 焼結を行った. 温度は1700℃と1800℃, 雰囲気は1気圧及び10気圧の窒素とした. 20%の添加で気孔率3.8%までの焼結体を得ることができた.
    焼結体は出発原料のβ-Si3N4とガラス相からなり, α'-Si3N4 (Si3N4とAl2O3の固溶体でα-Si3N4の構造を持つ) とSi3N4・Y2O3が少量析出した. ガラス相はAl2O3とY2O3にSi3N4が固溶して融点を下げたため生成する. 焼結体をアニーリングするとガラス相からα'-Si3N4とSi3N4・Y2O3が結晶化した.
    ガラス相付近の組成でAl2O3過剰の成分からはβ'-Si3N4, Y2O3過剰側からはSi3N4・Y2O3が析出し,α'-Si3N4は観察されなかった. このことからα'-Si3N4は熱力学的に準安定な相であると推定される.
  • 高嶋 廣夫, 斎藤 肇
    1977 年 85 巻 984 号 p. 412-418
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    混合アルカリ, アルカリ土類珪酸塩ガラスの構造と赤外線反射スペクトルのピークシフトとの関係を検討した. R2O-R'2O-SiO2系では, 大きなカチオンを小さなカチオンに置換するにつれてSi-O-Si結合に基づく主ピークは低波数側にシフトした. しかしそのような置換によっても分相した場合は高波数側にシフトした. R2O-RO-SiO2系ではR2OをROに置換すると低波数側にシフトした. この場合, ROとして大きなカチオンになるほど低波数側へのシフト量は大きかった. このようなピークシフトにおよぼすカチオンの影響力は二つ考えられた. その一つは導入されたカチオンがSi-O-Siネットワークにおよぼす静電気的引力で, 他の一つはネットワークを押し拡げる効果である.
  • 佃 康夫
    1977 年 85 巻 984 号 p. 418-422
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高圧ナトリウム放電灯の発光管にY2O3焼結体を用いて, 1000時間点灯する方法によってY2O3焼結体のNaおよび水銀蒸気の耐蝕性を検討した.
    電子顕微鏡やX線を用いてY2O3焼結体の変化を調べた. Y2O3焼結体の不純物は微小部X線分析法によって分析した.
    発光管の結晶学的変化は認められなかったが, 淡かっ色の着色が示された. この着色に伴いランプ電圧は約2%上昇した. 着色はNa試料中のCu不純物によるものと考えた. 高純度のNa試料を用いたところ上記の着色は示されなかった. これらのことからY2O3焼結体は高圧ナトリウム放電灯の発光管に使用できるものと思われる.
  • 中村 雅彦, 奥田 進
    1977 年 85 巻 984 号 p. 422-425
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 85 巻 984 号 p. 425b
    発行日: 1977年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 85 巻 984 号 p. 425a
    発行日: 1977年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 85 巻 984 号 p. A42-A48
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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