窯業協會誌
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Al2TiO5の分解速度に影響する諸因子
加藤 悦朗大門 啓志小林 雄一
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1978 年 86 巻 1000 号 p. 626-631

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抄録

チタン酸アルミニウムの分解動力学の予備的研究として, 分解速度に影響する諸因子が種々の反応焼結試料や焼鈍, 粉砕あるいは粉砕後の焼鈍などの処理試料を用いて検討された.
粉末試料の等温分解曲線は焼結体の場合と同様S字型となる. 粉末の分解速度は粉砕時間の増加とともに増大したが, 1310℃での焼鈍により細かいものほど分解が遅くなった. 焼結体試料の分解速度は成形圧の低いほど, 焼成時間の長いほど, また特に焼鈍によって低下した. これらの事実は分解が核生成・成長律速によるものであること及び焼結体試料の核生成は粒界で起こり, ち密化により増大し, 粒成長により減少することを意味する.
焼結体試料の分解のアブラミプロットは速やかに分解する試料の初期の (n=2) 及び焼鈍試料の (n=4) を除き (n=3) を与えた. ここでnはAvramiの指数である. 非等方性の熱膨張により生ずる粒界の圧縮応力が核生成速度を顕著に増大させ核生成の“site saturation”が起こること, したがって (n=2) 及び (n=3) はそれぞれsite saturationでのedge nucleation及び3次元成長に相当し, (n=4) は低い一定核生成速度での3次元成長に相当することが推定された.

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© The Ceramic Society of Japan
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