窯業協會誌
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無機系産業廃棄物を原料とする結晶化ガラス
田中 義身加藤 孝司
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1978 年 86 巻 999 号 p. 559-565

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抄録

無機系産業廃棄物のみを原料とする結晶化ガラス製造の可能性を検討した. 高炉鉱さい (滓), 琺瑯廃釉, アルミニウムスラッジ, 廃陶土及び廃ケイ砂を原料として結晶化のための加熱処理を目的としたガラスを調製した. 得られたガラスの化学組成はSiO2 29.2-47.6, Al2O3 18.6-26.7, CaO 21.6-29.2, MgO 4.2-6.1及びその他の成分 (Na2O, TiO2, B2O3, MnO2, SO3, その他) 7.6-12.8 (wt%) の範囲にあった. 加熱処理したガラス中には, 常に少量のdiopsideを伴って, meliliteかanorthiteあるいはこれらの両者が同定された. しかし, 1000kg/cm2以上の曲げ強度を有する結晶化ガラスとなったのは, 主結晶相としてmeliliteを析出するガラスだけであった. Cd, Cr及びPbの塩酸溶液に対する溶出量は, もとのガラスよりも結晶化ガラスの方が小さいことが見出された.

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© The Ceramic Society of Japan
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