窯業協會誌
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86 巻, 999 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 伊賀 武雄, 加藤 修三
    1978 年 86 巻 999 号 p. 509-512
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    NH4-ドーソナイトの格子定数を粉末X線回折データから求め, 結晶構造を決定した. 結晶は斜方晶系に属し, 格子定数はa, b, cがそれぞれ, 6.618±0.003, 11.944±0.004, 5.724±0.002 (Å) であった.
    NH4-ドーソナイトとドーソナイトの結晶構造は, ともにAl-O(OH) 8面体から成る鎖状構造を基本としているが, 前者は底心斜方をとり, 後者は体心斜方をとる点で異なっている.
    文献記載データから求めたK-ドーソナイトの晶系はNH4-ドーソナイトと同じ底心斜方晶系であった.
  • 有岡 雅行, 小久保 正, 田代 仁
    1978 年 86 巻 999 号 p. 512-517
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Li2O・2SiO2組成の融液を3mm/h以上の速度で一方向凝固させる際に, 結晶-融液界面付近に発生する気泡の成分及びその生成機構を調べた. 気泡の主成分は, 質量分析によりH2Oであることが分った. 融液を急冷して得たガラス及び一方向凝固させて得た多結晶体中のH2Oの溶解量は, 赤外線吸収分析によりそれぞれ, 0.025mol/l及び0.003mol/lであることが分った. したがって上記の気泡は融液中に溶解していたH2Oが凝固により結晶-融液界面に排出されて, 形成されたものと考えられる. 結晶に接した融液中のH2O濃度が, 凝固の進行につれ増加する速度を数学的に解析した結果, 凝固速度が3mm/h以上になると気泡が発生する原因は結晶-融液界面のH2O濃度が気泡の核生成が顕著になる過飽和濃度, Cc, に急速に達するためであると推察した. 融液を3mm/hの速度で一方向凝固させると, 凝固開始後40分で気泡が発生した実験結果及びScholzeにより報告されたH2Oの拡散係数を用いてCcを算出し, Ccは飽和濃度の約15倍となると推察した.
  • 岡部 安三, 北条 純一, 加藤 昭夫
    1978 年 86 巻 999 号 p. 518-526
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ハロゲン化チタン-炭化ガス-水素系気相反応 (1000°-1500℃) による炭化チタン (TiC) 微粉体の合成を行い, その生成条件及び生成物の性質を調べた.
    (1) TiC粉体生成に対して, ハロゲン化チタンはTiCl4<TiBr4<TiI4の順に, 炭化ガスはCCl4≪C2H4<CH4の順に有効であった. 本反応系の生成粉体は, TiCxと副生炭素からなる.
    (2) TiI4-CH4又はTiI4-C2H4系において, TiC粉体収率及び生成物のTiC含有率は, TiI4と炭化水素を1200°-1300℃で混合反応させた場合に最高となった. TiI4とCH4の濃度を増すと, TiC粉体の生成量が増加するが, [CH4]/[TiI4] の比が高くなるとTiC粉体生成が抑制される傾向が見られ, 副生炭素量が増した.
    (3) 生成TiCx粉体は, 0.01-0.2μmの単結晶粒子からなる. TiC相の格子定数は4.307-4.331Åで, 非化学量論組成C/Ti比 (x) 0.57-1.00の変化に対応する.
    (4) 本反応系でのTiC粒子は, TiCの均一核生成とその成長による生成過程をとり, この過程によって, 本実験の結果はよく説明できた.
  • 三友 護, 倉元 信行, 堤 正幸, 鈴木 弘茂
    1978 年 86 巻 999 号 p. 526-531
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Si3N4-AlN-Al2O3系を用いて, β-sialon単相の合成をホットプレスにより, 1750℃, 200kg/cm2の条件で行った. 原料は, Si6-zAlzOzN8-zにおいてz=1, 2, 3, 4になるよう粉末を混合して用いた. これはAlN・Al2O3のSi3N4への固溶範囲内である.
    ボールミルによるアルミナの混入, Si3N4, AlN表面の酸化層であるSiO2, Al2O3を考慮し, 混合後各成分が計算量になるよう調合した.
    z=2の組成では, 単相で極めて粒界相の少ない焼結体が得られた. z=1では収縮が不完全であった. z=3とz=4ではち密なものが得られたが. 未反応物が残った.
    用いた系内での反応は次のように分けることができる.
    (1) 1600℃以下では, 15R-sialon, x-phase, z=2.3-2.5のβ-sialonの生成反応, (2) 1600℃以上ではx-phaseを “transient” な液相とする液相焼結による急激なち密化, (3) β-sialonのzが所定の値に達する終期反応.
  • 丸田 俊久, 峯岸 敬一, 須藤 儀一
    1978 年 86 巻 999 号 p. 532-535
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    炭素炉中の固相から直接原子化によるセメント中の微量の銅, マンガン, 鉛, クロムの原子吸光定量法について検討した. セメント粉末を炭素炉内にそう入し, 最適測定条件下で, 乾燥, 灰化, 原子化を行い, 原子吸光ピーク高さを測定することにより微量の銅, マンガン, 鉛, クロムの定量法を確立することができた. 検量線は, それぞれ銅 (5.0-16.0)ng, マンガン (6.0-25.9)ng, 鉛 (3.6-16.8)ng, クロム (4.1-17.1)ngの範囲で良好な直線性を示した. 10回の繰り返し実験で求めた精度は, 変動係数で, それぞれ銅3.2%, マンガン3.7%, 鉛2.8%, クロム3.4%であり, 本法はセメント中のこれら微量元素の定量に十分使用できるものと考える.
    試料の前処理が必要ない本法は, 分析時間が短く, かつ前処理過程での分析目的元素の汚染の心配がない. また有害試薬を使用しないので無公害分析法としても満足すべき方法である.
  • 頓行 宏
    1978 年 86 巻 999 号 p. 536-540
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    分相過程を究明するため, Na2O-SiO2-B2O3系ガラスの構造を, ガラス中に溶存させたVO2+の光吸収スペクトルから検討した. スペクトルのガラス組成による変化は, Na2O/B2O3<1の組成範囲のNa2O-SiO2-B2O3系ガラスにはSi-O-B結合は形成されていないと仮定すると容易に説明できた. この仮定に基づくと, この組成範囲のガラスは, 当初から, Na2O-B2O3系ガラス相とSiO2ガラス相とに分相した構造をとっており, 熱処理後に顕微鏡で観察される分相は, それら各ガラス相が凝集過程を通じて発達したものと推論できる. 一方, Na2O/B2O3>1の組成範囲のガラスの場合, ガラス構造に関する明確な知見は光吸収スペクトルからは得られず, このため, 分相についての議論はできなかった.
  • 長谷 貞三, 鈴木 弘茂
    1978 年 86 巻 999 号 p. 541-546
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    カーボンブラックとSi, SiOあるいはSiO2から, 1340°-1570℃間で調製されたβ-SiC微粉末の物理的及び化学的性質が測定された. ここで測定された次のような性質から, これらの粉末が従来知られているβ-SiCの性質と比べて, 活性であることが分った.
    調製された粉末は炭素に富む非化学量論組成で, その格子定数は単結晶で知られている値に比べかなり小さかった. フッ酸と硝酸の混合酸に非常に腐食溶解されやすく, 処理後粉末では非化学量論性の増加, 比表面積の増加, 格子定数の増加及び赤外吸収スペクトルにおける変化がもたらされた.
    ケイ素原料としてSiOを用いて調製された粉末は他のケイ素原料から調製された粉末より大きな比表面積を有した. また, 空気中における酸化開始温度も非常に低かった. 特に, 混酸処理された粉末の一例では約270℃から酸化増量が測定された.
  • 井関 孝善, 丸山 忠司, 花房 啓一, 鈴木 弘茂
    1978 年 86 巻 999 号 p. 547-552
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    黒鉛とアルミナの高純度高密度多結晶体について, 高温曲げ強度に及ぼす表面粗さの効果について検討を行った. その結果, 室温から1500℃までの試験温度範囲でぜい (脆) 性破壊をした黒鉛では, すべての温度で表面粗さの効果は同様に現れ, 平滑なものの強度が粗いものに比べ大きかった. 1200℃以上でかなりの物質移動が期待されるアルミナではこの温度あたりから表面粗さの効果が減少し1400℃ではほぼなくなっていた. 破壊力学的に求めたき裂の大きさは走査型電子顕微鏡で求めた破面上の破壊源の大きさと表面粗さを考慮すると黒鉛ではほぼ一致しており, アルミナでは計算により求めたき裂の大きさが表面粗さの数倍となった.
  • 神谷 寛一, 作花 済夫, 水谷 通利
    1978 年 86 巻 999 号 p. 552-559
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    シリコンテトラエトキシドSi(OC2H5)4を種々の条件で加水分解し, 溶液のえい糸性を調べ, シリカガラス繊維を得ること及びゲルを1000℃まで加熱しシリカガラスを調製する可能性について検討した.
    エチルアルコールを溶媒としてSi(OC2H5)4にH2O及びHClをモル比で [H2O]/[Si(OC2H5)4] が1-29, [HCl]/[Si(OC2H5)4] が0.003-0.3となるように加え, 80℃に加熱して均質な混合溶液を調製した. 溶液を30℃に保ってSi(OC2H5)4の加水分解, 縮合を進行させ, 得られたゲルを1000℃まで加熱してシリカガラスとした.
    [H2O]/[Si(OC2H5)4] が2以下となるようにして調製した溶液は加水分解途上でゲル化直前に著しいえい糸性を示し, 繊維を紡糸することができた. 紡糸した繊維を加熱しシリカガラス繊維を得た.
    [H2O]/[Si(OC2H5)4] が15-29の混合溶液の加水分解の結果得られるゲルからは適当な加熱スケジュールで1000℃まで加熱することによって0.8mm×7mm×7mmの大きさで2.20g/cm3の密度をもつ透明なシリカガラス片が得られた.
  • 田中 義身, 加藤 孝司
    1978 年 86 巻 999 号 p. 559-565
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    無機系産業廃棄物のみを原料とする結晶化ガラス製造の可能性を検討した. 高炉鉱さい (滓), 琺瑯廃釉, アルミニウムスラッジ, 廃陶土及び廃ケイ砂を原料として結晶化のための加熱処理を目的としたガラスを調製した. 得られたガラスの化学組成はSiO2 29.2-47.6, Al2O3 18.6-26.7, CaO 21.6-29.2, MgO 4.2-6.1及びその他の成分 (Na2O, TiO2, B2O3, MnO2, SO3, その他) 7.6-12.8 (wt%) の範囲にあった. 加熱処理したガラス中には, 常に少量のdiopsideを伴って, meliliteかanorthiteあるいはこれらの両者が同定された. しかし, 1000kg/cm2以上の曲げ強度を有する結晶化ガラスとなったのは, 主結晶相としてmeliliteを析出するガラスだけであった. Cd, Cr及びPbの塩酸溶液に対する溶出量は, もとのガラスよりも結晶化ガラスの方が小さいことが見出された.
  • 長田 正省, 石塚 洋幸, 三輪 修己, 川西 宣男, 岸井 貫
    1978 年 86 巻 999 号 p. 565-567
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ガラス用の自動膨張計を, 制御回路の固体化によって高性能化した. 石英ガラスを用いた示差膨張計で, 試料の伸びは光てこで光像の移動に変換され, 次いで光像追跡機構を仲介にして, 試料温度を示す記録計の記録紙の送りに変換される. 記録紙上には温度対石英ガラスとの膨張差を示す曲線が自記される. JIS型膨張計との相補的な利用によって, 測定, 品質管理が高精度, 高能率で行われた.
  • 川副 博司, 細野 秀雄, 金澤 孝文
    1978 年 86 巻 999 号 p. 567-569
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 86 巻 999 号 p. A66
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 86 巻 999 号 p. A60-A66
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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