1980 年 88 巻 1013 号 p. 16-21
Cr-化合物を含むMg(OH)2を仮焼して得たMgOの粒子の形や粒度分布, 圧粉体中の粒子のつまり方に対してCr2O3の添加効果はあまりない. 仮焼して得た粉末の大部分は立方体か直方体の形をしていた. これらの試料の粒度分布は一般に報告されている試料のそれに比べ極めて狭かった.
Cr添加MgO圧粉体の真空中でのち密化は, 粒成長が同時に進行するち密化モデルを基にした式log{ρ(1-ρ0)/ρ0(1-ρ)}=C1k4KGlog(R/R0) に従って, 粒成長はR2-R02=Ktに従う. 後者の速度定数KはCr2O3の添加量に直線的に比例して増加する. 1500℃における無添加試料のKは4×10-15cm2/s, Cr2O3 1mol%当たりのKの増加分は5.3×10-13cm2/s×(1/mol% Cr2O3) であった. これらのことから, 2.5mol%までのCr2O3はMgO中に完全に固溶し, Cr3+間の相互作用は極めて弱いと考えられた.