窯業協會誌
Online ISSN : 1884-2127
Print ISSN : 0009-0255
ISSN-L : 0009-0255
88 巻, 1013 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 太田 進啓, 藤木 良規
    1980 年 88 巻 1013 号 p. 9-16
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    四チタン酸カリウム繊維の吸湿性には, 育成条件により900時間までに4.8wt%と0.8wt%の重量増加を示す2種類が存在する. 吸湿性の大きい四チタン酸カリウム繊維から種々酸性水溶液を用いたカリウムイオンの溶出力はHCl>HNO3≈H2SO4>(COOH)2>HCOOH>CH3COOHの順序であった. したがって, 本繊維からカリウム溶出量を制御して最も安定な相である六チタン酸カリウム組成へ変換する場合はCH3COOH水溶液を用いるのが適当である. 六チタン酸カリウム繊維を得るにはカリウムイオン溶出後加熱処理をすればよい. アナターゼ繊維への変換はHCl水溶液が適当で, 全カリウムを溶出させると結晶質チタニア水和物となり, このチタニア水和物を加熱すると中間相を経てアナターゼ繊維となる. チタニア水和物の熱分析は, 100°, 200°, 350°, 550℃の4段階の脱水減量に伴う吸熱反応と水和物から中間相, アナターゼ, ルチルへの相転移に関係した380°, 800°, 1000℃における発熱反応が観測された. また, アナターゼまでは繊維形態を保持しているが, ルチル相では粉末化した.
  • 池上 隆康, 堤 正幸, 松田 伸一, 鈴木 弘茂
    1980 年 88 巻 1013 号 p. 16-21
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Cr-化合物を含むMg(OH)2を仮焼して得たMgOの粒子の形や粒度分布, 圧粉体中の粒子のつまり方に対してCr2O3の添加効果はあまりない. 仮焼して得た粉末の大部分は立方体か直方体の形をしていた. これらの試料の粒度分布は一般に報告されている試料のそれに比べ極めて狭かった.
    Cr添加MgO圧粉体の真空中でのち密化は, 粒成長が同時に進行するち密化モデルを基にした式log{ρ(1-ρ0)/ρ0(1-ρ)}=C1k4KGlog(R/R0) に従って, 粒成長はR2-R02=Ktに従う. 後者の速度定数KはCr2O3の添加量に直線的に比例して増加する. 1500℃における無添加試料のKは4×10-15cm2/s, Cr2O3 1mol%当たりのKの増加分は5.3×10-13cm2/s×(1/mol% Cr2O3) であった. これらのことから, 2.5mol%までのCr2O3はMgO中に完全に固溶し, Cr3+間の相互作用は極めて弱いと考えられた.
  • ZnO-Al2O3-SiO2系ガラスの結晶化に関する研究, 第2報
    横石 章司, 斎藤 肇
    1980 年 88 巻 1013 号 p. 21-29
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ZnO-Al2O3-SiO2系β-石英固溶体を主相とする結晶化ガラスの透明性に対するZrO2析出処理の効果について調べた. 基礎ガラス組成は, 38 ZnO, 11 Al2O3, 51 SiO2 mol%とし, 基礎ガラスに対し核形成剤としてZrO2を12wt%添加した. 得られた結果は次のとおりである.
    (1) 等温処理する際のZrO2の析出量, 結晶子径の経時変化をX線粉末回折により調べ, 730℃で熱処理した時, 最も結晶粒子数の多い析出状態が得られることが分った.
    (2) ZrO2の析出量が十分でない場合, 15℃/min, の昇温速度で加熱すると約1010℃で, この系の安定相であるウィレマイトが主相として析出した. これは, 準安定β-石英固溶体の核発生位置となるZrO2・ガラス界面が十分に供給されなかったためと考えられた.
    (3) 十分にZrO2を析出させ830℃で主相を析出させた際, ZrO2析出のための前処理温度が750℃であった場合には約550Åのβ-石英固溶体粒子が析出し, 結晶化度約40%の結晶化物は乳白色であったが, 前処理温度が730℃であった場合にはその粒子径は約250Åであり, 結晶化度約40-50%まで結晶化物は透明性を示した. 更に結晶化させるとβ-石英固溶体粒子の融合, 成長により粒子径が増すために試料は乳白すると考えられた.
    (4) 熱膨張測定から, ZnO-Al2O3-SiO2系β-石英固溶体結晶は比較的低膨張であることが分った.
  • 高ケイ酸ガラスの製造と応用に関する研究, 第6報
    江口 清久, 栗田 晴充, 加藤 武敏
    1980 年 88 巻 1013 号 p. 29-35
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    母体ガラスの組成, 熱処理, 酸処理とできた高ケイ酸ガラスのケイ酸含有量との関係を検討するとともにケイ酸含有量を98%以上に高めることを目的として新しく水蒸気処理法を考案し, その処理条件を検討した.
    500°-560℃の各温度とも母体ガラスの熱処理時間 (t) が増すにつれて, できた高ケイ酸ガラスのケイ酸含有量が減少し, ケイ酸含有量とlogtとは直線関係が成り立つ. そして平衡値に達する. ケイ酸含有量の平衡値はI, III-シリーズともNa2O/B2O3比が小さくなるにつれて減少する.
    普通法で作った多孔性ガラスを700°-900℃で水蒸気処理し, 高ケイ酸ガラスのケイ酸含有量を99%程度まで増大できることを見いだした. また, 元の多孔性ガラスを作る時の母体ガラスの熱処理時間の短いものの方がケイ酸含有量が増大しやすい.
    水蒸気処理によるケイ酸含有量の増大機構としては多孔性ガラスのケイ酸骨格中に残留しているB2O3と細孔を通って浸入した水蒸気とが反応して水和物となり, これが揮発すると考えた. したがって, 元の多孔性ガラスを作るための熱処理時間の短いものの方が, ケイ酸骨格が発達していないのでB2O3が揮発しやすい.
  • 村林 真行, 高橋 洋一
    1980 年 88 巻 1013 号 p. 36-40
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    BeO-ThO2系混合酸化物は2相のセラミックスを形成すると考えられている. この混合酸化物及びBeOの熱拡散率をレーザーフラッシュ法により, 298Kから1000Kの温度範囲で測定した. 試料組成は, BeO 20-ThO2 80, BeO 45-ThO2 55, BeO 65-ThO2 35, BeO 85-ThO2 15及びBeO 100 (各wt%) で, 試料は直径約9mm, 厚さ1.5-3.1mmの円盤状焼結体である. ThO2の熱伝導率については既に発表したので, その値を用いた. 熱拡散率測定値から熱伝導率を求める際に必要な熱容量の値は, BeO及びThO2の熱容量文献値から, 加成性を仮定して求めた.
    得られた混合酸化物の熱伝導率と組成との関係を298Kと773Kについて求めたところ, 2相系セラミックスに対するKingeryモデルとは一致しなかった. この理由は主として, 試料中での2相の混合状態がKingeryの仮定したrandom mixingになっていないためであると思われた.
  • 井原 将昌, 亀井 文夫
    1980 年 88 巻 1013 号 p. 40-43
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ホウケイ酸カリウムの結晶構造をワイセンベルグカメラによる単結晶X線回折法により解析した. カリウム原子のみを含む構造模型から出発して試行錯誤法により他の原子の位置を見いだし, 最小2乗法により精密化して信頼度因子R=9.45%の構造を得た. この構造ではSi原子とB原子はすべて酸素4配位で, これらの酸素4面体が連結して6員環と4員環を形成し, 更にこれらの環が3次元的網目を形成している. K原子はこの網目中の大きな空げき中に存在しており, O原子12個が配位している. この結晶の構造は白リュウ石に似ており, 無水カリフッ石の一つと考えられる.
  • 木下 実, 寺井 良平, 灰台 治輝
    1980 年 88 巻 1013 号 p. 44-49
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高レベルの放射性廃棄物を含むガラス固化体の熱伝導を向上させるには金属との複合体とするのも一法と思われる. そこで熱伝導に対する金属混合の効果を調べるために, ガラス-銅系を選び, 検討した.
    銅があまり多くないときは, ガラスと銅の粉末混合物をそのガラスの屈伏点より高い温度で加圧焼結することにより充分にち密化した混合焼結体が得られた. 石英ガラスを標準試料とする定常熱流比較法によって, 約50℃における混合焼結体の熱伝導率を測定した.
    銅量の増加とともに熱伝導率は大きくなるが, 用いる銅粉の種類により同じ銅量の試料でも大きな差があった. 微粉の銅を用いるのが熱伝導の向上に効果的で, 約10vol%銅を混合することにより熱伝導率はガラスの約3倍になった. 微粉の銅が5vol%より少ない試料では, その熱伝導率はいわゆる対数則に従っており, それ以上になうと対数則よりはずれて急激に大きくなった. このことはこれ以上の銅量になると試料中で銅のつながりができるからであると思われる.
    粗い銅粉を用いた場合は, 熱伝導率はあまり増大せず, 良伝導体が不良伝導体中に分散しているモデルから導かれた式に従っていた.
  • 三友 護, 倉元 信行, 矢島 祥行
    1980 年 88 巻 1013 号 p. 49-54
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    β-サイアロン (z=2.3) とX-サイアロンからなる2相サイアロン及び単相のβ-サイアロン (z=2, Si4Al2O2N6) の粉末を1気圧の窒素中で加熱することにより熱分解を行った. 組成及び相の変化をX線回折及び化学分析で調べた.
    2相サイアロンの熱分解反応は, β1-サイアロン(s)+X-サイァロン(l)=β2-サイアロン(s)+6SiO(g)+2N2(g) 単相サイアロンは, β-サイアロン(s)=15R-ナイアロン(s)+4SiO(g)+2N2(g)+Si(l) と推定された.
    中間状態を仮定することによりβ-サイアロンの安定なSiO分圧は1800℃で, 6.0×10-1と3.9×10-1気圧の間であると算出できた.
    今までに報告されているβ-サイアロンの反応焼結法を成形体上のSiO分圧という観点から検討した. 著者らが開発したSi3N4とSiO2の混合粉末でおおう方法が最も有効であった. それは成形体上に1800℃で4.8×10-1気圧のSiOが存在し, β-サイアロンの熱分解を抑えるためである.
    本研究の結果, 粒界相が少量しか存在しない高密度β-サイアロンの反応焼結が可能となった.
  • 大森 志郎, 荒井 怜
    1980 年 88 巻 1013 号 p. 54-58
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下水汚泥焼却灰に膨張性ケツ岩を添加して, 人工軽量骨材原料としての可能性を検討した.
    下水汚泥焼却灰は単味では発泡膨張しないが, 焼却灰に膨張性ケツ岩を20%以上添加して, 造粒し, 焼成温度1140°, 1150℃の2水準で実験した結果, 添加物の増加とともに絶乾比重が小さくなり, 造粒も容易になる. しかし, 添加物の量が20%以下の場合は造粒物の十分な強度が得られない.
    そこで, バッチ型ロータリーキルンで膨張性ケツ岩を20%添加し, 造粒, 乾燥後, 焼成温度1160℃, 焼成保持時間30分で焼成した結果, 絶乾比重1.05, 吸水率4.1%で, この粗骨材を使用したコンクリートの圧縮強度は, 水/セメント比 (W/C) 40%で, 材令28日の場合に352kg/cm2で, 市販品を使用した場合と同程度の強度があり, 人工軽量骨材原料としての可能性を得た.
  • 山根 正之, 中尾 泰昌, 奥山 雅彦
    1980 年 88 巻 1013 号 p. 59-63
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高レベル放射性廃棄物を含有するNa2O-B2O3-SiO2系ガラスの分相に及ぼす種々の修飾酸化物の添加の影響について調べた. Li2O, ZnO, CaO, MgO, TiO2, Al2O3等を添加したNa2O-B2O3-SiO2系に, 分相を起こさずに導入しうる廃棄物の量は, これら添加物の量がある値に達するまでは添加量とともに増加した. 実験結果を基に, この系の任意の組成のガラスに対して, 廃棄物の導入限界量を計算するためのパラメーターを, 各修飾酸化物について定めた. このパラメーターを用いて, ガラス組成から推定した廃棄物の導入限界量は, 修飾酸化物の添加による非架橋酸素の生成の影響を考慮すると, 実験値と良く一致した.
  • 1980 年 88 巻 1013 号 p. A2-A4
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
feedback
Top