窯業協會誌
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Si3N4-Al2O3焼結体の溶鋼による侵食
前田 榮造新谷 宏隆川上 辰男岸高 寿
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1980 年 88 巻 1021 号 p. 523-531

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抄録

反応焼結Si3N4及びSi3N4-Al2O3焼結体の溶鋼による侵食をアルゴンふん囲気中1600℃で回転円筒法により測定し, その反応を考察した.
反応焼結Si3N4の侵食量は大きかったが, Si3N4-Al2O3焼結体では, 径の減少はほとんどなかった. しかし, 試料中のSiとN成分の減少によるかなりの重量減少があり, 表面はα-Al2O3になっていた. このSiとNの減少は, 蒸発したガスが試料中の気孔を通じて拡散し, 溶鋼中に溶け込むことにより起こると説明できる.
試料からSiとN成分が減少する反応は以下の2種類の反応が起こっているものと推定される. 一つは分解蒸発反応であり, sialon 1=sialon 2+6SiO(g)+3xO2(g)+2(1-x)N2(g) (0≦x≦1) sialon 3=sialon4+3Si(g)+2N2(g) もう一つは酸化反応である. sialon 5+3O2(g)=sialon 6+2N2(g) 酸素分圧, 窒素分圧及びsialon化合物の活動度により, いずれの反応が起こるかが決まるものと考えられる.

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© The Ceramic Society of Japan
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