窯業協會誌
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88 巻, 1021 号
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  • 小山 陽一
    1980 年 88 巻 1021 号 p. 503-510
    発行日: 1980/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    水分量の少ない系におけるρ-, χ-Al2O3の水和生成物について調べた. 水和条件は, 水分/粉末量比ΔWが0.30-0.75, pH 10.5, 温度23° 50° 80℃である.
    水和生成物はジブサイト, ノルストランダイト, バイアライト及び擬ベーマイトである. 擬ベーマイト以外の生成物は常に2種以上が系に生じる. この場合, 未知の回折線 (d=5.23Å) が観察される. 従来知られているpHの値のみでなく, ΔWも水和結晶種を支配している因子である. ΔW≧0.33では擬ベーマイトのみが生成する. ΔW≧0.33では擬ベーマイトと他の水和物が共存する. ΔWが増加するにしたがって, バイアライト等の生成量は増加し, 一方, 擬ベーマイトの生成量は減少する. 水和生成物量は水和処理温度が高いほど多い.
    水和アルミナの生成は溶解析出機構による. バイアライト生成の誘導時間はΔWが増加するにしたがって短くなる. 擬ベーマイト生成の誘導時間はΔWに依存しない. 擬ベーマイト結晶核生成の活性化エネルギーは19.0kcal/molである. バイアライト生成も活性化過程によるとした場合, バイアライト結晶核生成は二つの過程からなり, 結晶核生成の活性化エネルギーはΔW=0.75, 23°-50℃の過程では大略13.1kcal/molとなり, ΔW=0.75, 50℃以上の過程では非常に小さい.
  • 長島 隆, 加茂 睦和, 田中 英彦, 猪股 吉三
    1980 年 88 巻 1021 号 p. 511-515
    発行日: 1980/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高速中性子放射化法による窒化ケイ素中の不純物酸素の分析法について, 主にケイ素による妨害を除く方法に関して検討を行った.
    高速中性子で放射化した二酸化ケイ素のガンマ線スペクトルから, 28Siから生成する28Alの低エネルギーガンマ線のランダムコインシデンスによるパイルアップ現象によって, 酸素定量の妨害が起こることが明らかとなった. また放射化した二酸化ケイ素の崩壊曲線を, ディスクリミネーターレベルを変えて測定した結果, 低エネルギーガンマ線のパイルアップ現象は, 放射化時間35秒の場合ディスクリミネーターレベルの下限を5.0MeVとすることによって避けられることが分った.
    検量線の作成に当たっては, 検量線作成用試料中の他の元素の自己吸収効果による影響を少なくするため, 試料組成に近い窒化ケイ素に二酸化ケイ素を加える標準添加法で直線を求め, それを検量線とした.
    本法を用いて市販の6種の窒化ケイ素中の酸素分析を行った結果, 合成法によって酸素量に傾向がみられた. また窒素ふん囲気中での熱処理によって酸素量は大きく減少することが分った.
  • 原 尚道, 井上 憲弘
    1980 年 88 巻 1021 号 p. 515-522
    発行日: 1980/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    石英とCaOより180℃, 12時間の水熱反応で生成する11Åトバモライトについて, その結晶化度, Ca/Siモル比, 結晶の形や大きさ, 熱的挙動等に及ぼすBaCl2, NaCl, CaCl2, NaOH, KOHの添加効果が検討された.
    (1) BaCl2とNaClは結晶化度とCa/Siモル比を高くし, 異常型の生成を助長した. CaCl2は結晶化度を低下させ, Ca/Siモル比を高める作用をし, 正常型の生成を助長した. NaOHとKOHは結晶化度を低下させCa/Siモル比を高めるが, 異常型の生成を助長した. これらの効果はNaOHよりはKOH添加時に著しかった.
    (2) NaOH又はKOHの存在下で高結晶化度の11Åトバモライトを得るには, 無添加の場合より高めに出発Ca/Siモル比をとるべきである.
    (3) BaCl2, NaClは11Åトバモライトのb軸方向への伸長を促し短冊状結晶を与えた. CaCl2は結晶を薄くまた板状にする傾向がある. NaOHとKOHは微細な薄い結晶を与えた. これらの添加剤の中ではBaCl2c軸方向に厚くしかも大きい結晶を与える優れた媒晶剤として機能した.
    (4) これらの効果は添加剤がCa(OH)2の溶解度を変えること, 及びアルカリ含有添加剤については11Åトバモライトの層間に水和Na+又はK+イオンが結合することに主に起因すると考えられる. すなわち, Ca(OH)2の溶解度を高めるBaCl2, NaClの添加は結晶化度を向上させ, 逆にCa(OH)2の溶解度を低下させるCaCl2, NaOH, KOHの添加は結晶化度を低下させた.
    11Åトバモライト層間への水和アルカリイオンの結合は熱的挙動における異常性を増大させるようである. NaOHとKOH間にみられるこれらの効果の差は, 水和アルカリイオン半径の差, 及びNa+イオンは正の水和であるのに対してK+イオンは負の水和をしているためであると考えられる.
  • 前田 榮造, 新谷 宏隆, 川上 辰男, 岸高 寿
    1980 年 88 巻 1021 号 p. 523-531
    発行日: 1980/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    反応焼結Si3N4及びSi3N4-Al2O3焼結体の溶鋼による侵食をアルゴンふん囲気中1600℃で回転円筒法により測定し, その反応を考察した.
    反応焼結Si3N4の侵食量は大きかったが, Si3N4-Al2O3焼結体では, 径の減少はほとんどなかった. しかし, 試料中のSiとN成分の減少によるかなりの重量減少があり, 表面はα-Al2O3になっていた. このSiとNの減少は, 蒸発したガスが試料中の気孔を通じて拡散し, 溶鋼中に溶け込むことにより起こると説明できる.
    試料からSiとN成分が減少する反応は以下の2種類の反応が起こっているものと推定される. 一つは分解蒸発反応であり, sialon 1=sialon 2+6SiO(g)+3xO2(g)+2(1-x)N2(g) (0≦x≦1) sialon 3=sialon4+3Si(g)+2N2(g) もう一つは酸化反応である. sialon 5+3O2(g)=sialon 6+2N2(g) 酸素分圧, 窒素分圧及びsialon化合物の活動度により, いずれの反応が起こるかが決まるものと考えられる.
  • 太田 滋俊, 浜野 健也, 中川 善兵衛
    1980 年 88 巻 1021 号 p. 531-538
    発行日: 1980/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アルミナにEr2O3を微量添加して, アルミナの焼結, 特に初期焼結に与える影響を検討した.
    硝酸塩溶液混合と酸化物混合とを行い比較した結果, 昇温収縮曲線が大きく異なったが, この違いはEr2O3の分散性の違いによるものと考えられた. 特に硝酸塩溶液混合では, 収縮開始温度はアルミナ単味より高温になるが, 収縮速度が速くなることが認められた.
    Er2O3の添加量を0.05-2.00wt%と変えた結果, 0.50wt%まではち密化を促進するが, それ以上では顕著な効果は認められなかった.
    初期焼結は等温収縮の測定から, Er2O3を添加するとアルミナ単味の粒界拡散から体積拡散に支配的な拡散機構が変わることが分った. これはアルミナとEr2O3との固相反応に伴うイオン拡散に関連しているものと推察した. また, 収縮速度の温度依存性は添加量の増加に伴って, 0.50wt%まで大きくなり, 見掛けの活性化エネルギー値がアルミナ単味試料の140kcal/molから, 0.50wt%添加試料の230kcal/molまで大きくなることが分った.
    Er2O3は焼成に伴ってアルミナと反応して複酸化物を作るが, これらは第2相成分として試験体中に分散しており, ち密化に伴って合体成長することが認められた.
  • 西川 友三, 岡本 泰則, 中川 卓二, 木村 仁, 竹田 勇人
    1980 年 88 巻 1021 号 p. 538-546
    発行日: 1980/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Mn-Znフェライト焼結体の4点曲げクリープ測定を行った. 試料の粒径範囲は16μmから500μm以上に至る. 測定温度は1100°-1400℃, 応力はおよそ5-200kg/cm2であった. 定常クリープのひずみ速度に与える応力, 粒径, 温度の効果を解析して, 支配的な変形機構を考察した. およそ80μm以下の粒径では, 酸素の粒界拡散が変形を律速していると考えられ, その活性化エネルギー52kcal/molはNi-Znフェライトのそれ (86kcal/mol) よりかなり低い値であった. 粒径が大きくなり, 応力が増すにしたがって, non-viscousなクリープ挙動が観測され, その応力指数は約3であった. この結果は変形が転位の上昇によって支配されていることを示し, Nabarroのモデルに従えば, 律速拡散種としての酸素の格子拡散係数が得られる. その値は, 1100°-1300℃でDo1=1.40×10-5 exp (-39300/RT)cm2/s, 1300°-1400℃でDo1=2.48×102 exp (-91700/RT)cm2/sであった. non-viscousなクリープ変形挙動を示した試料の変形後のケミカルエッチングによるエッチピットの観察から, 変形前に比べての転位密度の増加が認められ, このような変形条件下での転位の動きの活発化が示唆された.
  • 岡田 繁, 阿刀田 徹三
    1980 年 88 巻 1021 号 p. 547-553
    発行日: 1980/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アルミニウム融液中におけるα-AlB12単結晶の育成条件の検討をアルゴンふん囲気中で行った. 最適育成条件は原料混合比 (原子比 (B/Al)): 0.17-0.37, 保持温度: 1500°-1550℃, 保持時間; 10時間であった. 単結晶は (101) 面が発達した板状あるいは角すい塊状結晶として得られた. 得られた単結晶について空気中での酸化反応を研究し, 硬度 (ヌープ微小硬度) 及び密度の測定を行った. 空気中での酸化は1000℃付近より起こり, 酸化生成物は9Al2O3・2B2O3とB2O3であった.
    酸化反応は2次反応速度式で表すことができる. その際の見掛けの活性化エネルギーは68kcal/molであった. (101) 面についてのヌープ微小硬度: 2060-2300kg/mm2, 密度: 2.54±0.01g/cm3を得た.
  • 森本 繁樹, 三島 康玄
    1980 年 88 巻 1021 号 p. 554-559
    発行日: 1980/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アルミノホウケイ酸塩フォトクロミックスガラスの飽和暗化度と半退色時間に対するガラス組成の影響を検討した.
    SiO2量を60mol%に固定してアルカリフラクション (AF)=(R2O)/(R2O+R2O3) (ここで, R2OはLi2O及びK2O, R2O3はAl2O3及びB2O3を示す) を0.1-0.6の範囲で変化させた系において, 飽和暗化度は, 非架橋酸素イオンの存在しないAF=0.1-0.35の範囲でAFの増大とともに次第に増大し, 非架橋酸素イオンが生成し始めるAF=0.43付近で極大に達した. 更にAFが大きくなると, 再び暗化度は減少した. 半退色時間は, 非架橋酸素イオンが生成し始めるAF=0.43付近から急激に長くなった. AFが0.45以上の組成では, 多数の非架橋酸素イオンが存在するために, ハロゲン化銀が析出せず, ガラスはフォトクロミックとならなかった.
    SiO2を60mol%, AFを0.3に固定してB2O3とAl2O3を置換した系では, いずれの特性も余り大きく変化しなかった.
    AFを0.35に固定してSiO2を70-40mol%の範囲で変化させた系において, SiO2が40mol%の組成で少数の非架橋酸素イオンが形成され, 弱い銀コロイド着色を生じたが, ハロゲン化銀結晶も析出した. 飽和暗化度は, SiO2が70-60mol%の組成ではほとんど同じであるが, 非架橋酸素イオンが生成し始めるSiO2=50mol%の組成で極大を示した. SiO2が更に減少して40mol%の組成では, 暗化度は再び減少した. 半退色時間は, 非架橋酸素イオンが生成し始めるSiO2=50mol%付近から急激に長くなった.
    このようにハロゲン化銀が析出してガラスがフォトクロミックとなるかどうか, またフォトクロミズムを示すガラスの飽和暗化度と半退色時間はガラス中の非架橋酸素イオンの濃度に関係づけられることが分った.
  • 上薗 裕史, 中川 善兵衛, 浜野 健也
    1980 年 88 巻 1021 号 p. 559-565
    発行日: 1980/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    多結晶マグネシアを1500℃, 又は1550℃で再加熱し, 試験片の表面に残った熱エッチング像を観察するとともに, 個々のペリクレース粒子の結晶学的方位をX線背面反射ラウエ法により測定して, 再加熱に伴う粒子成長と結晶方位との関連性について検討した. マグネシアの粒子成長の基本的な過程として, 一つの粒子の縮小-消失する過程に注目し, この過程に伴って直線状に伸びる粒界と, その両側の粒子の結晶方位との関連性を調べたところ, これら粒界がその両側の粒子の低指数面 {110}, {111}, {100} 面と一致する場合は少なかった. しかし, 微量の酸化サマリウムを添加すると粒界の移動に変化が認められ, {100} 面に囲まれたペリクレース粒子が発達した. この {100} と一致する粒界は, 平行に移動する顕著な傾向を示した. このことから, 酸化サマリウムは, マグネシア焼結体の微構造を変える効果をもつ添加剤の一つと考えられた.
  • 田口 秀樹, 高橋 弓弦, 松本 忠恕
    1980 年 88 巻 1021 号 p. 566-570
    発行日: 1980/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ペロブスカイト型構造をとる (La1-xSrx)MnO3 (0.1≦x≦0.5) を合成し, この酸化物の電気抵抗 (R) を相対湿度 (H) 0-100%の範囲において調べた.
    試料を粉砕した後, アルミナ基板に塗布し, Arガス中, 800℃及び1000℃まで加熱した. この酸化物の電気抵抗を室温にて, 2端子法を用いて測定した. x=0.3の試料の電気抵抗は, 相対湿度の増加とともに, ほぼ直線的に増加することが分った. また焼成温度が高くなるにしたがって, ΔR(=R100%-R0%) は急激に減少することが分った. 水の吸着量が増すにしたがって電気抵抗が大きくなる現象は, 欠陥型吸着モデルを用いて説明できる.
  • 田中 英彦, 猪股 吉三, 川端 治雄
    1980 年 88 巻 1021 号 p. 570-574
    発行日: 1980/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    AlとBをその量比を変えてβ-SiC粉末に添加し, 加圧焼結した. これにつき室温, 1300℃と1500℃において, 3点曲げ試験法によって強度を測定した.
    焼結体の組織はAlとBの添加量比が変化しても, 大きな差異は認められないが, Alの添加量が増えると, 粒成長がやや抑えられ, 粒界破壊しやすくなる傾向が認められた. 粒界破壊を起こす試料は高温 (1500℃) で強度が低下した. 破壊様式と強度の関係は1500℃の高温で明確に現れ, Alを多く含んだ粒界破壊を示す試料で強度が小さかった.
  • 金子 泰成
    1980 年 88 巻 1021 号 p. 575-576
    発行日: 1980/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    The quantitative analysis of O0, O- and O2- ions existing in MnO-SiO2 and ZnO-SiO2 glasses was carried out by ESCA (electron spectroscopy for chemical analysis). The ratio of O0 ion in MnO-SiO2 and ZnO-SiO2 glasses increased with the increase of SiO2 content. It was estimated that 33% and 67% of Si-O cluster existed in the form of Si2O76- and Si3O96-, respectively, in 60ZnO⋅40SiO2.
  • 1980 年 88 巻 1021 号 p. A49-A56
    発行日: 1980/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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