窯業協會誌
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アルカリホウ酸塩結晶中のBO3及びRBO4単位の配置と分率
尾坂 明義高橋 克明
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1983 年 91 巻 1056 号 p. 374-377

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抄録

ホウ酸異常を解明するための一助として幾つかのアルカリホウ酸塩結晶の構造を調べた. その結果0≦x≦1.0の領域 (xはモル比R2O/B2O3を表す) の結晶は基本的には5種類のBO3単位, すなわちB3(3B3), B3(2B3, B4), B3(B3, 2B4), B3(3B4) 及びBR並びに2種類のRBO4単位, すなわちB4(4B3) 及びB4(3B3, B4) から構成されていることが分った. これらの単位の分率のxに対する変化の様子からは二つの傾向が見て取れる. (1) 一つのB3又はB4単位に結合するB4単位の数はxとともに徐々に増加する. (2) 各々のB4又はB3単位はある一つめ結晶においてその分率が最大となり, またそれがこの結晶を構成する唯一のB4又はB3単位である. これらの傾向は, B4単位の分率が0.5≦x≦1.0の領域でxに対し直線的に増加すると仮定するならば, この領域では2個以上のB4単位に結合する4種の仮想的なB4単位が現れることを示唆する. これら現実の, 及び仮想的な単位のエネルギーとして, 例えば結合エネルギーの和を定義すれば, エネルギーの面からそれらの単位の相対的な安定度の関係が導かれる.

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© The Ceramic Society of Japan
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