抄録
α-Ca3(PO4)2(α-TCP) の焼結挙動を種々の原料粉末を用いて1200°-1600℃範囲で比較・検討した.
α-TCP原料粉末は, β-Ca3(PO4)2(β-TCP) 原料粉末に比べて, 付着・凝集性が高く, 物理的に軟らかく, 充てん性及び焼結性も良く, ち密質焼結体の作製に向いていた. β-TCP粉末の場合は, 焼結収縮が小さく, 多孔質焼結に適していた. α-及びβ-TCP粉末の磨砕物は1400℃以上で, 未磨砕物は1500℃以上で, それぞれ著しい粒成長を起こした. α-TCP粉末の焼結は粒界あるいは体積拡散により, β-TCP粉末は体積拡散あるいは流動によって, おのおの支配されるものと推定された. Ca2P2O7-CaCO3系, CaHPO4-CaCO3系及びCaHPO4・2H2O-CaCO3系の各混合磨砕物を原料粉末とした場合は, 易焼結性であったけれども, 粒成長しやすかった. 各種原料粉末から得られたα-TCP焼結体の気孔率は, 粒内破断する程度まで焼結させたもので, 5-35%であった.