窯業協會誌
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92 巻, 1064 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 門間 英毅, 堤 正幸, 後藤 優, 梅垣 高士, 金澤 孝文
    1984 年 92 巻 1064 号 p. 157-163
    発行日: 1984/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    α-Ca3(PO4)2(α-TCP) の焼結挙動を種々の原料粉末を用いて1200°-1600℃範囲で比較・検討した.
    α-TCP原料粉末は, β-Ca3(PO4)2(β-TCP) 原料粉末に比べて, 付着・凝集性が高く, 物理的に軟らかく, 充てん性及び焼結性も良く, ち密質焼結体の作製に向いていた. β-TCP粉末の場合は, 焼結収縮が小さく, 多孔質焼結に適していた. α-及びβ-TCP粉末の磨砕物は1400℃以上で, 未磨砕物は1500℃以上で, それぞれ著しい粒成長を起こした. α-TCP粉末の焼結は粒界あるいは体積拡散により, β-TCP粉末は体積拡散あるいは流動によって, おのおの支配されるものと推定された. Ca2P2O7-CaCO3系, CaHPO4-CaCO3系及びCaHPO4・2H2O-CaCO3系の各混合磨砕物を原料粉末とした場合は, 易焼結性であったけれども, 粒成長しやすかった. 各種原料粉末から得られたα-TCP焼結体の気孔率は, 粒内破断する程度まで焼結させたもので, 5-35%であった.
  • 持田 統雄, 坂井 清, 菊池 公義
    1984 年 92 巻 1064 号 p. 164-172
    発行日: 1984/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アルカリゲルマン酸塩ガラスのラマンスペクトルを測定した. 種々の構造単位を含むゲルマン酸塩結晶のラマンスペクトルの系統的比較及びラマン強度に関するsimple stretching modelの両者から振動の帰属を行い, その結果を基に次のような構造モデルを提案した.
    KO1/2, RbO1/2, CsO1/23系のガラスでは, 25mol%付近までアルカリ成分はGeの5, 6配位化に費やされ, 非架橋酸素は生じない. したがって, この組成域でx/(1-x)>N6(5)>x/2(1-x)(N6(5): 5, 6配位Geの割合, x: MO1/2モル分率) が成立する. 20mol%付近から6配位のGeがGe4O16群を形成し, Ge7O16骨格に特徴的な325, 610, 650cm-1の3ピークが観測される. Ge4O16群の量はKO1/2系で40, RbO1/2系で35, CsO1/2系で30mol%で最大となる. これら3系では, 非架橋酸素一つもつGeO4は30mol%から急激に増加し, 二つもつGeO4は50mol%から生成し始める. 高配位Geは50mol%ですべて消滅する.
    NaO1/2系の場合, 低アルカリ側では同様に5, 6配位Geが生成するが, Ge4O16群は40-50mol%でしか生じない. LiO1/2系の場合, 高配位Geのほとんどが6配位をとり, 30mol%以下の組成でN6=x/2(1-x) が成立する. また, Ge4O16群は生成しない. この両系では非架橋酸素の生成し始める組成が前述の3系に比べ高アルカリ側へずれる.
  • 黒光 祥郎, 森永 健次, 柳ヶ瀬 勉
    1984 年 92 巻 1064 号 p. 173-178
    発行日: 1984/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    スプラットクエンチング法により2成分RO-Fe2O3系 (R: Ca, Sr, Ba) 融体を急冷し, ガラス化試料を作製した. 推定冷却速度は108℃/s程度である. これらの系のガラス化領域をHVEM (超高圧電子顕微鏡) の電子線回折像から決定した. RO-Fe2O3系のガラス化範囲は, 各系とも共晶組成を中心とした領域であり, それぞれの系に対し30-55mol% CaO, 30-60mol% SrO, 30-45mol%と55-62mol% BaOの組成域であった.
    これらのガラスにおけるFe3+の配位状態を解明するためガラス状試料の赤外線吸収スペクトル及びメスバウワースペクトルを測定した. Fe2O3は両性酸化物で, 本系ガラスにおいても酸素4配位したFe3+(Fe3+(4)) と酸素6配位したFe3+(Fe3+(6)) が存在していた. Fe3+(4)/Fe3+(6) の比を決定する因子はROの塩基度と含有量であり, ROの含有量の増加及びROの塩基度の増加により, Fe3+(4) が増加した. 例えば40BaO・60Fe2O3ガラスではFe3+はほとんど4配位サイトに存在するが, 40CaO・60Fe2O3ガラスではFe3+の2/3が6配位サイトに存在している. また赤外線吸収スペクトルはFe3+(4) の集合した酸素錯陰イオンの存在することを暗示していた. これらのFe3+の形態は同系融体の物性値の組成依存性からも妥当だと考えられる.
  • 福重 安雄, 永江 隆治, 島田 欣二, 加藤 昭夫
    1984 年 92 巻 1064 号 p. 179-187
    発行日: 1984/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    クリストバライトのカーボンによる還元窒化反応を1360°-1475℃で行った. 反応生成物はα-Si3N4とβ-Si3N4で, わずかにSiCも認められた. Si3N4(α+β)中のα-Si3N4の生成割合は約90%で, Fe2O3 (0.18wt%) の添加により約95%に増加した. 窒化反応生成物は主として1μm程度の丸味を帯びた粒子からなるが柱状及び針状粒子も認められた. SiO2のSi3N4への初期転化率から求めた反応の活性化エネルギーは約150kcal/molで, Fe2O3を添加すると135kcal/molに低下した. SiO2-C-N2系の窒化は生成経路I-IIIによると考察した. すなわち, IはSiO2(s) とC(s) の反応でSi(s, l) が生成し, このSi(s, l) が窒化される. IIはSiO2(s) とC(s) あるいはCO(g) の反応により, SiO(g) が生成し, このSiO(g) が不均化によりSi(s, l) とSiO2(s) を生成する. このSi(s, l) が窒化される. IIIはSiC(s) とN2(g) の反応でSi3N4(s) を生成する. 本実験ではIが主な生成経路と考えられる. IIIはSiCの生成量が少ないので, 全窒化反応の中で重要な生成経路とならないと考える. Fe2O3を添加したSiO2-C-N2系での窒化では, Fe-Si系の液相を経由して進行する可能性がある.
  • 広田 和士, 市来崎 哲雄, 矢島 祥行
    1984 年 92 巻 1064 号 p. 188-194
    発行日: 1984/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    独立空孔の段階に達した常圧焼結窒化ケイ素試験片について, カプセルを用いないHIP (熱間静水圧圧縮) を行った. 圧力媒体として窒素ガスを用い, 126MPa, 1750℃に6時間以上保持することにより, 焼結体中にあった空孔は事実上消滅し, かつ室温曲げ強度の平均値がHIP処理前の500MPaから約700MPaに増加した. 試験片に含まれていた酸化ケイ素成分, 約2wt%がHIP処理中に減少し, 窒素含有量が増加することが判明した. すなわち, 3mm角, 長さ31mmの試験片を黒鉛容器に入れ, 126MPa, 1750℃に14時間保持することにより, 試験片の窒素含有量は0.6wt% N増加し, ほぼこれに当量の酸素含有量が減少したことから, 酸化ケイ素成分の相当部分が窒化されたと結論された. 用いた試験片では, HIP条件下で気相成分が試験片に若干溶解し, その移動速度が無視できない程度に達したと結論された.
  • 芝崎 靖雄, 金岡 繁人, 堀尾 正和, 渡村 信治, 延谷 宏治, 金丸 文一
    1984 年 92 巻 1064 号 p. 195-200
    発行日: 1984/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    瀬戸層群中に産する呉須をX線回折, 分析電子顕微鏡 (AEM), 化学分析, IRとDTAで調べた. 呉須は, 3種類の結晶, 石英・ハロイサイト・リシオホライト鉱 (Lithiopholite) から構成されていた. リシオホライトは, 電子顕微鏡下で, 直径4μm程度の板状晶で, AEMにおける元素組成比はMn (1.0), Al (0.4), Co (0.13), Ni (0.05) であった. また, 化学分析から求めた元素組成比は, Mn (1.0), Al (0.67-0.75), Li (0.16-0.22), Co (0.11-0.58), Ni (0.20-0.22) であった. このリシオホライトは, 他の天然のものの組成に比較して, Li, Al, Coを多量に含んでいることが特徴的であった. 呉須の加熱試験では, 420℃でリシオホライトが, 520℃付近でハロイサイトが分解した. 更に加熱することによって, 700℃からスピネル型結晶が, 800℃からはβ-スポジューメンがそれぞれ生成した. このスピネル型結晶の格子定数は8.27ÅでMnAl2O4に相当した. 呉須の藍色は, MnAl2O4のMnのサイトをCoが置換して, 生じるものと推定している.
  • 岩本 信也, 梅咲 則正, 土肥 健二
    1984 年 92 巻 1064 号 p. 201-209
    発行日: 1984/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高温ラマン分光法によりRb2O・4SiO2ガラスと融体のラマン散乱スペクトルを測定した. 800-1200cm-1の波数領域に現れるラマン散乱スペクトルは, 960-980cm-1, 1020-1060cm-1, 1090-1110cm-1と1140-1160cm-1付近にピーク位置を持つ4個のラマン散乱バンドに起因している. これらのバンドはそれぞれSi原子当たり2個, 1個, 0個の非架橋酸素を持つSiO32- chain, Si2O52- sheetそしてSiO20 3次元網目構造のケイ酸塩陰イオンのSi-O伸縮振動に原因しており, しかもそれぞれのラマン散乱バンドはガウス曲線で近似することができる. 4個のガウスバンドの面積強度からRb2O・4SiO2ガラス及び融体中に存在する3種類のケイ酸塩陰イオン量を計算した. その結果, ガラス移点温度Tg以上でSiO20量が連続的に減少し, 一方Si2O52-量が増える傾向を示した. 温度増加に伴うこれらのケイ酸塩陰イオン間における解離は, ケイ酸塩融体の粘性挙動と対応している. しかしながら, Rb2O・4SiO2ガラスと融体間のラマン散乱スペクトルの差異は少なく, それゆえガラス構造は融体構造と粗く類似していると考えられる. 更に, 3種類のケイ酸塩陰イオン量からRb2O・4SiO2ガラス及び融体中での最近接Si-Si, O-Si, O-O対の配位数を推定した. 得られた結果は, 同一組成の結晶の配位数と良い一致を示した.
  • 大塚 寛治, 荻原 覚
    1984 年 92 巻 1064 号 p. 210-218
    発行日: 1984/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    還元雰囲気で焼成されるエレクトロニクス用アルミナセラミックスの有機バインダーのバーンアウトは困難な作業の一つとして認識されている. 92%アルミナ質セラミックスとポリビニールブチラールバインダーの系からなるシステムの還元雰囲気焼成時のバインダーの分解とセラミックスの焼結の相互関係について第1報で検討がなされたことに引き続き, 本報で原料混合条件の変化によるそれらの相互関係について取り上げた.
    原料の乾式混合, 湿式混合の組み合わせにおいて, 乾式混合時間の増大は初期焼結収縮量の増大をきたし, 湿式混合時間の増大は中期焼結 (液相焼結) の低温側へのシフトの原因となる. 後者はセラミックス中の気孔チャネルの閉結の低温化をもたらし, バインダーの残留物 (炭素) の封じ込め量を大きくし, 気孔径の大きい, かさ密度の低いセラミックスを作る. 第1報で, バーンアウトの適正条件であった200℃/h以下の加熱速度, すなわち190℃/hでも湿式混合時間が長い (本系で10-20時間) 場合は不充分な条件となる.
  • 関 均, 石沢 伸夫, 水谷 惟恭, 加藤 誠軌
    1984 年 92 巻 1064 号 p. 219-223
    発行日: 1984/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ルチル型酸化物のTiO2及びSnO2について熱風式加熱装置を用いて高温単結晶X線回折を行い, TiO2では室温から1280Kまでの7点, SnO2では室温から1100Kまでの6点で回折強度データを収集した. 構造を精密化した結果, 最後のR因子はTiO2で0.020から0.032, SnO2で0.025から0.028となった. 酸素の原子座標xは, TiO2, SnO2 ともに温度の上昇とともに増加する. a軸とc軸の平均線膨張係数は, TiO2でそれぞれ8.637×10-6K-1, 1.162×10-5K-1, SnO2でそれぞれ5.082×10-6K-1, 5.673×10-6K-1である. また, 2種類の異なるM-O原子間距離の平均値の平均線膨張係数は, TiO2とSnO2でそれぞれ9.56×10-6K-1, 5.10×10-6K-1である. また, MO6 8面体の温度によるひずみの変化について考察した.
  • 加納 剛, 関 節子, 〓 行中
    1984 年 92 巻 1064 号 p. 224-226
    発行日: 1984/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 藤田 一美, 村田 邦子, 中沢 孝子, 香山 勲
    1984 年 92 巻 1064 号 p. 227-230
    発行日: 1984/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 岸 和司, 梅林 正気, 谷 英治, 小林 和夫
    1984 年 92 巻 1064 号 p. 231-232
    発行日: 1984/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 92 巻 1064 号 p. A19-A22
    発行日: 1984/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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