窯業協會誌
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均一沈殿法により合成したリン酸亜鉛アンモニウムの加熱変化
岸岡 昭板谷 清司木下 真喜雄
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1985 年 93 巻 1082 号 p. 606-611

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抄録

尿素を用いる均一沈殿法をNH4ZnPO4の合成に適用した. ZnCl2 (0.20mol・dm-3), (NH4)2HPO4 (0.25-0.35mol・dm-3) 及び (NH2)2CO (0.40-0.70mol・dm-3) を含有する酸性水溶液 (0.5mol・dm-3HCl) を95±1℃で18時間還流した. 生成した白色結晶性の沈殿 (約pH 6で) をグラスフィルター (G4) で分離し, 1% (NH4)2HPO4水溶液で, 次にエタノールと水との (1:1) 混合液で洗浄した. 最後にエタノールで洗浄したのち風乾した. このようにして得られたNH4ZnPO4を室温から徐々に加熱すると, H2OとNH3とを放出して分解, 縮合し, 500℃で未知のZn2P2O7相になった. この相はα-Zn2P2O7ともまたβ-Zn2P2O7とも異なっており, γ-Zn2P2O7と呼ぶことができる. γ-Zn2P2O7は750℃でβ-Zn2P2O2に変化するが, γ型とβ型の間の転移は不可逆的で, β-Zn2P2O7を室温まで冷却するとα-Zn2P2O7になった. したがって, γ-Zn2P2O7は準安定相と思われる. NH4ZnPO4からのγ-Zn2P2O7の形成とα, β, γ型の間の相転移をまとめると, 次のように示すことができる. NH4ZnPO4500℃→γ-Zn2P2O7 (準安定相) 750℃→β-Zn2P2O7132±8℃→←α-Zn2P2O7 α-Zn2P2O7の粒子はγ-Zn2P2O7の粒子より小さく, α型の密度はγ型の密度より高い値であった.

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© The Ceramic Society of Japan
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