窯業協會誌
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93 巻, 1082 号
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  • 渡辺 裕一, 金澤 孝文, 川副 博司
    1985 年 93 巻 1082 号 p. 597-605
    発行日: 1985/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    窒素を少量含有する多結晶及びガラス状メタリン酸塩中に紫外光又はガンマ線を照射した際に生ずる常磁性欠陥中心をESRを用いて調べた. 5個のシグナルよりなる吸収線を同位体濃縮法, Kバンド測定より解析し, 異方性をもつgテンソルと, 14Nの異方性をもつ超微細構造, 2個の31Pの等方的超微細構造がこの吸収を与えることが分った. 更にこの欠陥中心は酸素を置換した窒素が正孔を捕獲して生成し, その構造としてP-N-P平面型が推定された. また光学ギャップ程度の紫外光 (190nm-) 照射で, 窒素上の正孔捕獲中心とリン上の電子捕獲中心が同時に生成することから, 窒素がエレクトロン・ドナーとして働くことが分った.
  • 岸岡 昭, 板谷 清司, 木下 真喜雄
    1985 年 93 巻 1082 号 p. 606-611
    発行日: 1985/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    尿素を用いる均一沈殿法をNH4ZnPO4の合成に適用した. ZnCl2 (0.20mol・dm-3), (NH4)2HPO4 (0.25-0.35mol・dm-3) 及び (NH2)2CO (0.40-0.70mol・dm-3) を含有する酸性水溶液 (0.5mol・dm-3HCl) を95±1℃で18時間還流した. 生成した白色結晶性の沈殿 (約pH 6で) をグラスフィルター (G4) で分離し, 1% (NH4)2HPO4水溶液で, 次にエタノールと水との (1:1) 混合液で洗浄した. 最後にエタノールで洗浄したのち風乾した. このようにして得られたNH4ZnPO4を室温から徐々に加熱すると, H2OとNH3とを放出して分解, 縮合し, 500℃で未知のZn2P2O7相になった. この相はα-Zn2P2O7ともまたβ-Zn2P2O7とも異なっており, γ-Zn2P2O7と呼ぶことができる. γ-Zn2P2O7は750℃でβ-Zn2P2O2に変化するが, γ型とβ型の間の転移は不可逆的で, β-Zn2P2O7を室温まで冷却するとα-Zn2P2O7になった. したがって, γ-Zn2P2O7は準安定相と思われる. NH4ZnPO4からのγ-Zn2P2O7の形成とα, β, γ型の間の相転移をまとめると, 次のように示すことができる. NH4ZnPO4500℃→γ-Zn2P2O7 (準安定相) 750℃→β-Zn2P2O7132±8℃→←α-Zn2P2O7 α-Zn2P2O7の粒子はγ-Zn2P2O7の粒子より小さく, α型の密度はγ型の密度より高い値であった.
  • C-SiC複合材の性状と焼成温度及びB4C添加の影響
    小川 一太郎, 山下 幸典, 萩尾 剛, 吉田 久良, 小林 和夫
    1985 年 93 巻 1082 号 p. 612-617
    発行日: 1985/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    C-SiC複合材, 及びこれにB4Cを添加した複合材における焼成温度と諸性状との関係を調べた. 得られた結果を炭素単味の焼成体の場合と比較した.
    生コークスにSiC粉末を20vol%, 又はSiC粉末18.4vol%及びB4C粉末1.6vol%を加えて混合磨砕し, 金型で加圧成形した後1000°-2400℃の各温度で焼成した.
    複合材の曲げ強さは, 1400℃以下では焼成温度とともに低下し, 1600℃以上では増大した. 2400℃焼成では, C-SiC系で140MPa, B4Cを添加した系で190MPaの曲げ強さが得られた. この傾向は炭素単味における曲げ強さの変化と逆の傾向であった. 炭素単味に比べて複合材は大きなヤング率を示した. 2400℃で焼成したB4C添加の複合材は60MPaの特に大きな値を示した. C-SiC系複合材の電気比抵抗は炭素単味と比べて大きかった. しかしB4Cを添加した複合材の電気比抵抗は1600℃以上の焼成では炭素単味の場合よりも低下し, 2400℃では1.561×10-3Ω・cmとなった. B4Cの添加は複合材のち密化と黒鉛化を促進することが分った.
  • 陳 祖耀, 孔 繁敷, 張 祖徳, 河本 邦仁, 柳田 博明
    1985 年 93 巻 1082 号 p. 618-621
    発行日: 1985/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    SnO2はn型半導体酸化物で, その導電率が被検ガスに大きく影響されることを利用して, 実用ガスセンサー材料となっている. 本研究では, 被検ガスに接触したSnO2の温度が大きく変化することに着目し, この温度変化測定によるガス検知法を検討した. ビード型センサー素子の定常状態における熱収支に基づいて導出した安定状態方程式を用いて, 各種動作条件でのセンサー温度の変化を考察し, 急激な昇温が起こる異常自己加熱現象と付加昇温に対する解釈を与えることができた. 更に, 新型温度補償式ガスセンサーの設計と製作の可能性を提案した.
  • 吉田 直次郎, 井原 将昌, 福永 二郎, 藤原 進治
    1985 年 93 巻 1082 号 p. 622-628
    発行日: 1985/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    紅石柱はケイ砂中の重鉱物としてガラス原料に混入するが, その形態は鉱床の型式によって異なる. この差異は紅柱石ガラスストーンの発生率に影響するが, びんガラス中には常に発生している. びんガラスに発生した多数のガラスストーンから紅柱石ストーンを収集するとともに単結晶の紅柱石とカレットによる反応試験を行った.
    その結果紅柱石の分解には二つの型が認められ, 繊維状のムライト結晶集合体のみを生成する場合と, その外側を針状のコランダム結晶を含むガラスの層が包む場合とがある. カレットとの反応試験から紅柱石の分解速度定数を定め, 活性化エネルギーを計算すると128kcal/molとなる. 槽窯内での紅柱石の挙動を反応試験とガラスストーン中の分解層の比較及び分解速度定数から考察すると大部分の紅柱石は槽窯内の1300°-1350℃の温度域を通過したことを示す.
  • 岸 和司, 梅林 正気, 谷 英治, 小林 和夫
    1985 年 93 巻 1082 号 p. 629-635
    発行日: 1985/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アルミニウムイソプロポキシド {Al(Oi-Pr)3} 溶液中にSi3N4粉末を懸濁させ, それを加水分解, 解膠後乾燥し, 空気中で900℃, 2時間仮焼してz=0.25, 0.5, 0.75, 1及び2のβ-サイアロン焼結体の原料粉末を得た. これらの原料粉末を1850℃, 300kg/cm2の圧力下で1時間ホットプレスし, 得られた焼結体の組成, 組織及び強度を調べた.
    z=0.5, 0.75, 1及び2でち密な焼結体が得られたが, z=0.25では相対密度88%の焼結体となった. 焼結体の組成はz=0.25及び0.5でβ-サイアロン+O', z=0.75でβ-サイアロン+O'+X, z=1及び2でβ-サイアロン+Xとなった. 焼結体の組織は, 約0.5-1μmのβ-サイアロン結晶粒からなり, α-Si3N4とα-Al2O3から得た焼結体で見られた組織の不均一はなかった. 焼結体は破壊に際し, いずれも表面の加工傷から破断した. 焼結体の強度はz=0.5で平均67kg/mm2 (最高72kg/mm2) となったが, z=2では平均14kg/mm2となった. これは, 加水分解時の水酸化アルミニウムの凝集による組織の顕著な不均一によるものであった.
  • 添田 厚子, 前田 邦裕
    1985 年 93 巻 1082 号 p. 636-648
    発行日: 1985/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    BeO添加SiC焼結体とAlN添加SiC焼結体, 及び助剤無添加SiC焼結体について, ホットプレス温度を変えて試料を作製し, 主に分析電子顕微鏡を用いて焼結途中段階における微構造変化を詳しく比較観察した. その結果, BeO添加の場合は, (1) 焼結初期にSiC粒成長が起き, 添加したBeOは目立った働きを示さない. (2) 焼結温度が上昇するにつれ, 添加したBeO粒は成長し, 最終的には粒界に単結晶粒として点在するようになる. (3) BeO粒成長に伴い, SiC粒内の粒界近傍に多形変化が生じ, 特異なc軸方向に細長く伸びた粒成長を起こす. このとき同時に急激なち密化が起こる. AlN添加の場合は, (1) 焼結初期の段階では, SiCの粒成長はほとんど見られない. AlNは焼結途中で分解してSiC粒界にAlリッチの層を形成する. (2) 更に温度が上がると, Alリッチの層が消失し, SiC粒内に拡散していく. 同時に急激にち密化が進む. 助剤無添加の場合は, 焼結初期に粒成長が起き, SiC粒子間の結合も起こるが, その後は温度が上がってもほとんどち密化しない, ということが明らかとなった.
  • 佐伯 淳, 石沢 伸夫, 水谷 惟恭, 加藤 誠軌
    1985 年 93 巻 1082 号 p. 649-654
    発行日: 1985/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    欠陥型ホタル石構造を基本としたC型希土類酸化物のYb2O3とEr2O3の単結晶をアークイメージフローティングゾーン法により作製し, 四軸型単結晶X線回折計を用い, 室温から1260Kまで6点の温度での高温構造の解析を行った. 最終のR因子はYb2O3で0.034から0.050, Er2O3で0.036から0.051であった. 単位胞の平均線熱膨張係数はYb2O3で8.27×10-6K-1 (室温から850K) 及び10.31×10-6K-1 (850Kから1250K), Er2O3で7.47×10-6K-1 (室温から770K) 及び10.74×10-6K-1 (770Kから1250K) である. 欠陥型ホタル石構造における酸素の配列と, 金属-酸素間距離との間の関係並びにその温度依存性について考察した.
  • 横山 誠二, 山田 恭裕, 鰐部 吉基, 坂尾 弘
    1985 年 93 巻 1082 号 p. 655-660
    発行日: 1985/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究は, 耐火煉瓦における気孔率をより正確に評価するための測定方法に関連するものである. Al2O3-SiO2系煉瓦における見掛け気孔率, 吸水率と見掛け及びかさ密度を, 2種類の水置換法, すなわち, 真空及び煮沸法を用いて測定した. また, ヘリウム圧力比較法を用いて, 見掛け密度を測定した. 真空法においては, 置換の前に試料を0.1mmHgの圧力にまで減圧した. 煮沸法においては, 水置換をJIS R 2205に基づいて沸騰水中で3時間行った. 結果の差異を, 特に, 煉瓦気孔に関する毛細管モデルを用いて水置換の不完全性について考察した. 結果及び考察をまとめると以下のようである.
    (1) 該当の気孔内を水置換するために, 真空法は従来の煮沸法の約1/3の時間に短縮できる.
    (2) モデルによれば, 真空法において減圧にすればするほど, 水と置換されない煉瓦気孔内の残留空気量は, 小さくなる. 0.1mmHgの圧力以下では, 真空法における残留空気は, 実用上の耐火煉瓦について, 煮沸処理したものより常に小さい. この考察と実験結果より, 真空法は煮沸法よりも正確に, 見掛け気孔率, 吸水率及び密度を測定できることが判明した.
    (3) 見掛け密度は, 煮沸法, 真空法, ヘリウム圧力比較法の順により大きい値となる. これは, ヘリウム圧力比較法が, 水の浸入できない開口気孔空間のより正しい測定に優れていることを示している. しかし, この方法では, 見掛け密度しか測定できない.
  • 岩佐 美喜男, 垣内 千一
    1985 年 93 巻 1082 号 p. 661-665
    発行日: 1985/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Si3N4焼結体の摩擦・摩耗特性を改良するため, 固体潤滑性を有するBNを添加することを考え, 2-30wt%のBNを含むSi3N4-BN系複合焼結体をホットプレス法により作製した. 焼結体のビッカース硬度はBNの添加により急速に低下したが, 破壊靱性はBN 5wt%添加でピークを示した.
    各焼結体の同一材質間の摩擦・摩耗特性を荷重1kg, 摺動速度1-8cm/sでピン・オン・ディスク法により測定した. 摩擦係数はBN添加によってもほとんど変化しなかったが, 比摩耗量はBN 20wt%以上の添加で10-7mm2/kgから10-8mm2/kgへと約1けた改良された. BNが固体潤滑性を発揮するには, かなり多量に添加され, 連続的に分布していなければならないと思われる.
  • 坂本 忠士, 渡辺 忠彦, 菖蒲 一久
    1985 年 93 巻 1082 号 p. 666-667
    発行日: 1985/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 松尾 陽太郎, 小笠原 俊夫, 北林 徹夫, 安田 榮一, 木村 脩七
    1985 年 93 巻 1082 号 p. 668-670
    発行日: 1985/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 93 巻 1082 号 p. 670
    発行日: 1985年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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