本研究は, 耐火煉瓦における気孔率をより正確に評価するための測定方法に関連するものである. Al
2O
3-SiO
2系煉瓦における見掛け気孔率, 吸水率と見掛け及びかさ密度を, 2種類の水置換法, すなわち, 真空及び煮沸法を用いて測定した. また, ヘリウム圧力比較法を用いて, 見掛け密度を測定した. 真空法においては, 置換の前に試料を0.1mmHgの圧力にまで減圧した. 煮沸法においては, 水置換をJIS R 2205に基づいて沸騰水中で3時間行った. 結果の差異を, 特に, 煉瓦気孔に関する毛細管モデルを用いて水置換の不完全性について考察した. 結果及び考察をまとめると以下のようである.
(1) 該当の気孔内を水置換するために, 真空法は従来の煮沸法の約1/3の時間に短縮できる.
(2) モデルによれば, 真空法において減圧にすればするほど, 水と置換されない煉瓦気孔内の残留空気量は, 小さくなる. 0.1mmHgの圧力以下では, 真空法における残留空気は, 実用上の耐火煉瓦について, 煮沸処理したものより常に小さい. この考察と実験結果より, 真空法は煮沸法よりも正確に, 見掛け気孔率, 吸水率及び密度を測定できることが判明した.
(3) 見掛け密度は, 煮沸法, 真空法, ヘリウム圧力比較法の順により大きい値となる. これは, ヘリウム圧力比較法が, 水の浸入できない開口気孔空間のより正しい測定に優れていることを示している. しかし, この方法では, 見掛け密度しか測定できない.
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