1986 年 94 巻 1087 号 p. 318-323
K2O・2B2O3並びにNa2O・2B2O3ガラスにパルス電子線照射をし, 吸収スペクトルを測定した. ガラスに誘起されたスペクトルの強度は温度上昇とともに低下し更に時間減衰も速められた. K2O・2B2O3ガラスでは, 400℃においては, 照射後1.5μsでその吸収は大きく低下した. 1.6eVに吸収を持つ短寿命種は, 照射によって同時に生ずる非架橋酸素に関係する正孔中心との拡散律速による再結合によって消失していくことが推論された. 減衰速度の活性化エネルギーはガラス転移温度の下限とされる約300℃を境に大きく変化した.