窯業協會誌
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94 巻, 1087 号
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  • 藤木 良規, 小松 優, 佐々木 高義
    1986 年 94 巻 1087 号 p. 313-317
    発行日: 1986/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高レベル放射性廃液処理の観点から水溶液中のバリウムイオンの固定化がイオン吸着材として2種類の結晶性チタニア水和物, H2Ti4O9nH2OとH2Ti2O5nH2O繊維を用いて研究されている. 水酸化バリウム水溶液からのバリウム飽和吸着量はH2Ti2O5nH2O吸着材で4.88meq/g, H2Ti4O9nH2O吸着材で2.65meq/gを与えた. 前者の吸着材に吸着されたバリウムイオンは1100℃までの焼成温度で, BaTi4O9とルチルからなる鉱物集合体中に固定化され, 後者の場合はBaTi5O11, BaTi4O9, ルチルの鉱物集合体中に固定化された. しかし, BaTi5O11相は1200℃における焼成でBaTi4O9とルチルに熱分解した. これらの固定化体中のバリウムイオンの浸出率が純水を用いた大気下25℃で測定された. その結果は最大2.7×10-9g/cm2・dの高浸出抵抗で非常に安定であることを示した.
  • 減衰過程に及ぼす温度効果
    前川 尚, 伊藤 秀明, 横川 敏雄, 沢村 貞史, 北市 雅敏, 片山 明石
    1986 年 94 巻 1087 号 p. 318-323
    発行日: 1986/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    K2O・2B2O3並びにNa2O・2B2O3ガラスにパルス電子線照射をし, 吸収スペクトルを測定した. ガラスに誘起されたスペクトルの強度は温度上昇とともに低下し更に時間減衰も速められた. K2O・2B2O3ガラスでは, 400℃においては, 照射後1.5μsでその吸収は大きく低下した. 1.6eVに吸収を持つ短寿命種は, 照射によって同時に生ずる非架橋酸素に関係する正孔中心との拡散律速による再結合によって消失していくことが推論された. 減衰速度の活性化エネルギーはガラス転移温度の下限とされる約300℃を境に大きく変化した.
  • 焼結機構
    茶園 広一, 木村 敏夫, 山口 喬
    1986 年 94 巻 1087 号 p. 324-329
    発行日: 1986/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    板状Bi4Ti3O12粉体をテープ成形して作製した成形体について焼結中のち密化速度及び微細構造 (結晶粒子と気孔) の変化を調べ, 板状粒子の焼結機構を考察した. ち密化を支配する機構は主に粒子の再配列で, 焼結初期の早いち密化や収縮率の異方性が認められた. また, 粒子の再配列の結果, 粒子のよく配向した領域とその間の平板状の気孔が生成した. 焼結の進行に伴いこれらの領域は大きくなり, これらの領域で挟まれた気孔を切断し, 等軸粒子より低密度で閉気孔が生成した. 粒成長は1050℃以上で顕著になり, 粒径分布も広くなった.
  • 渡辺 宏, 近崎 充夫
    1986 年 94 巻 1087 号 p. 330-335
    発行日: 1986/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    希土類元素であるLa, Nd, Ce, Sm, Gd, Dy, Er及びYbの酸化物で安定化したZrO2の耐熱衝撃性について検討した. 焼結により作製した円板試料を1100℃に急熱後, 室温まで約500℃/minで急冷するサイクルを繰り返すことにより熱衝撃試験を行った.
    試験した希土類酸化物安定化ZrO2のうちでは, Yb2O3安定化ZrO2のみが良好な耐熱衝撃性を示す. 特に, 立方晶ZrO2からなるZrO2-8wt% Yb2O3では, ジェットエンジン部材のしゃ熱コーティング材として用いられているZrO2-7wt% Y2O3よりも優れた耐熱衝撃性を示す. ZrO2-8wt% Yb2O3の耐熱衝撃性が優れるのは, 立方晶ZrO2粒の大きさが, ZrO2-7wt% Y2O3に比較して小さいためと考えられる. また, ZrO2-8wt% Yb2O3に2wt%程度のAl2O3を添加すると耐熱衝撃性が更に向上する. 熱衝撃試験においてクラックは主に, マルテンサイト変態する単斜晶ZrO2から発生すると考えられる. ZrO2-8wt% Yb2O3では単斜晶ZrO2粒同士が結合して大きな集合体になっているのに対して, Al2O3添加材では球状の単斜晶ZrO2粒が比較的孤立して存在しており, そのためクラックが発生, 進展しにくく耐熱衝撃性が向上するものと考えられる.
  • 岩佐 美喜男, 樋端 保夫
    1986 年 94 巻 1087 号 p. 336-343
    発行日: 1986/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    代表的なファインセラミックスであるSiC, Si3N4, Al2O3及びPSZの各材質について, 原料, 助剤, 製法等の異なる幾つかの試料を選び, その相互間の摩擦・摩耗特性をピンオンディスク法により測定した.
    一定の相手ディスク材質に対する摺動に限定すれば, 摩擦係数, 比摩耗量は試料のビッカース硬度に対しては負の相関を, 破壊靱性に対しては正の相関を示すようであり, また摩擦係数と比摩耗量の間には正の相関が認められた.
    いずれの相手ディスクに対してもSiCピンの摩擦係数, 比摩耗量が最も低く, 次いでいくらかばらつきがあるもののAl2O3ピンが優れている. Si3N4ピンは摩擦係数, 比摩耗量とも比較的高く, 摺動部材としての応用には摺動特性の改善の努力が必要であろう. PSZピンの摩擦係数, 比摩耗量は相手ディスク材質によって大きく変動するが, 相手ディスクの熱伝導率等に影響されていると思われる.
    ディスク材質としては, SiC, Si3N4, Al2O3そしてPSZの順に相手ピンの摩耗が増大したが, ピン材質がAl2O3の場合は逆の順序であった.
  • 井川 博行, 小田切 正, 今井 修, 浦部 和順, 宇田川 重和
    1986 年 94 巻 1087 号 p. 344-350
    発行日: 1986/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高温型コーディエライト (Mg2Al4Si5O18) の3種類の構成原子の一部を他の原子で置換し, その置換による結晶格子の熱膨張の変化を高温粉末X線回折法により研究した. 各々の置換により熱膨張特性は特徴的な変化を示し, 更に熱膨張の異方性や線膨張係数の低減も可能なことが明らかになった. 主要な結果を要約すると次のようになる.
    MgをFeあるいはMnで置換すると, a軸の格子定数 (a0) は大きくなるがc0は小さくなる. この置換によりa軸方向の小さな正の熱膨張は更に小さくなり, c軸方向の負の熱膨張は正の方へ移行する.
    AlをGaで置換すると, a0及びc0いずれも大きくなる. この置換固溶体の格子定数の再現性は非常に悪く, 合成の度ごとに大きく異なる. この置換による熱膨張特性の変化は, 前述のFeやMnの置換固溶による変化に類似している.
    SiをGeで置換すると, a0及びc0いずれも直線的に大きくなる. この置換によりc軸方向の負の熱膨張は負の方向に大きくなるが, a軸方向の熱膨張は固溶量により複雑に変化する.
  • 大塚 寛治, 大沢 義幸, 山田 耕一郎
    1986 年 94 巻 1087 号 p. 351-359
    発行日: 1986/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ドクターブレード法で作られたアルミナグリーンテープの厚み精度の改善策が種々のプロセス条件の変更により検討された. 計算的なシミュレーションが実験結果と対比させ行われた. そしてグリーンテープの厚みばらつきを最小にすることが以下の指針を実行することによって達成された.
    (1) スラリータンクの低液面.
    (2) 比較的高い粘度のスラリー.
    (3) 厚いドクターブレード.
    (4) 大きいキャリテープ移送速度.
    (5) せまいブレードすき間.
    これらは粘性流の部分を小さくし, 索引流の部分を大きくすることと等価である. 実験結果は0.5cm厚みのドクターブレードの条件を除いてシミュレーションと一致した. ブレードのエッジ効果-0.5cm厚みのドクターブレードのスリットの中への遷移流束-は無視できないためである. 6.2%の厚みばらつきがシミュレーション式に実際の機械と環境条件のゆらぎ値を代入することにより得られた. 実際に製作されたテープの厚みばらつき (3%) はこれより小さく観察された. これは最大ゆらぎ値群の組み合わせが確率的に起こりにくいためである.
    これらの指針の実行により次の障害に出合う. 更に高精度化のためには, これらの障害を乗り切る必要がある.
    (1) 低い液面は液面ばらつきの比率を増大する.
    (2) 高い粘度はこのスラリの非ニュートン性のため大きな粘度ばらつきの原因となる.
    (3) キャリアテープ移送速度の増大は乾燥炉の能力を超えることとなる.
    (4) ブレードの厚みの増大は精度向上が期待できる. しかし, 前記指針 (1) とのトレードオフがあるかも知れない.
    (5) ブレードすき間はシート厚の調整のためにとっておくべきである.
  • 宮川 佳子, 斉藤 和雄, 丹羽 博昭, 阿藤 康郎, 宮川 草児
    1986 年 94 巻 1087 号 p. 360-364
    発行日: 1986/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    粒子励起X線 (PIXE) 分析法は, 最近, 広い分野で使われ出している分析法であるが, その主な利点は, 分析感度が高く, かつ, 非破壊で多元素同時分析が可能なことである. 一方, ファインセラミック原料中の不純物元素の種類と含有量は, 焼成後の製品の品質を左右する重要な要素であるが, その分析手段はいまだ確立しておらず, 数百ppm以下のレベルでは分析方法によって測定結果が大きく変動することがある. 著者らは, PIXE法によって, このセラミック原料中の微量元素分析を試み, 若干の知見を得たので報告する. まず, MgO試料に2MeVの陽子を照射した場合について, 陽子エネルギー及び, Ca, Fe, ZnのKX強度の深さ依存性を計算で求めた. その結果, MgO, SiC, Si3N4, Al2O3など, 平均の原子番号が10程度の物質のPIXE分析には1μm厚さの試料でも十分に薄いとはみなせないことが分かった. 1μmより薄い試料を調製するのはかなり難かしいが, それらの物質中における2MeVの陽子の飛程, 10.33mg/cm2より厚い試料の作製は容易である. この厚い試料を用いて, 2MeVの陽子とHeイオンによる分析感度の違い, 及びそれに対するX線アブソーバーの効果も調べた.
  • 三浦 嘉也, 片岡 厚一郎, 高橋 克明
    1986 年 94 巻 1087 号 p. 365-371
    発行日: 1986/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    CdO-B2O3-SiO2系ガラスのフォトクロミック特性及び光導電性を調べた. ガラスは吸収端付近の光の照射によって暗化する. 半退色時間は室温で約17時間であった. フォトクロミック特性が最大の組成は, 本実験の組成範囲では58CdO・25B2O3・17SiO2付近であった. 光導電性が最大の組成は65CdO・20B2O3・15SiO2付近であり, フォトクロミック特性と光導電性は相反する組成依存性を示した. フォトクロミック特性の原因は酸素にホールがトラップされ, Cd+が生成することによる. Cd+の相対的濃度の組成依存性はフォトクロミック特性のそれと一致した. SiO4及びBO44面体による立体障害効果で非架橋酸素の電子が局在化すればCd+が生成しやすく, BO3平面構造が増えると非架橋酸素の電子は非局在化するので, フォトクロミック特性は悪くなり, 光導電性が良くなった.
  • 浜野 健也, 原 剛志, 黄 啓祥, 中川 善兵衛, 長谷川 美憲
    1986 年 94 巻 1087 号 p. 372-379
    発行日: 1986/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    市販又は試作段階の高純度アルミナ微粉末試料12種について, 粉末性状, 焼結性等を比較検討した. 試料はθ-Al2O3を伴う一種を除き, いずれもα-Al2O3のみからなるが, その見掛けのクリスタリットの大きさ, 粉末としての比表面積, 粒度分布には大きな違いが認められ, またこれらの性質相互間にはあまり規則的な関係を見いだせなかった. 透過型電子顕微鏡下で観察される粒子の形状等にも, 試料によって大差があるが, この形状によって上記の粉末の性質を良く関係付けることができる.
    粉末の充てん性, 焼結性も試料によって大差があるが, 上記の粉末性状, 特に粒子の形状等によってこの差異を生じる原因を良く説明できる.
    実験結果からち密なセラミックスを作製するには, 目的に応じて原料のアルミナ粉末を選択することが非常に重要であり, また一般に, 焼結性の良いアルミナ粉末は母塩の仮像や凝集体を含まず, 単離した0.1-0.5μmの塊状粒子からなり, α-Al2O3のクリスタリットの大きさが1000Å又はそれ以上, 粉末の比表面積が7-10m2/gくらいのものであることが分かった.
  • 大門 啓志, 加藤 悦朗
    1986 年 94 巻 1087 号 p. 380-382
    発行日: 1986/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 林 国郎, 岡本 泰則, 西川 友三
    1986 年 94 巻 1087 号 p. 383-385
    発行日: 1986/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 94 巻 1087 号 p. 385
    発行日: 1986年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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