Journal of Chemical Software
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原子軌道の角部分に関する新しい可視化方法の研究
時田 澄男木戸 冬子杉山 孝雄細矢 治夫
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2001 年 7 巻 1 号 p. 29-46

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抄録

原子軌道関数は, r, θ, φを極座標とするとき, 原子核からの距離rのみに依存する動径部分Rn,l(r)と,角部分Yl,m(θ, φ)の積で表される.角度θ, φのみに依存する角部分は, 球面調和関数としてYl,m(θ, φ)= Θl,m(θ)Φm(φ).の式で表わすことができる.角部分には, 波動関数の対称性に関する情報が全て含まれるため, 重要である.われわれは, AVS (Application Visualization System)というソフトウェアの等値曲面表示技術を用いて,原子軌道の角部分の数式を可視化する新しい方法を研究した. 本方法では, Yl,m(θ, φ)・rはデカルト座標の[(x, y, z)系]に変換可能であることに注目し, Yl,m(θ, φ) /r(x, y, z)の値を, 40×40×40の格子点に対して求めて, その等値曲面を描くことで,角部分表示を実現する.本研究では, Y0,0(θ, φ), Y1,0(θ, φ), Y1,±1(θ, φ), Y2,0(θ, φ), Y2,±1(θ, φ), Y2,±2(θ, φ)について,3次元の角部分の数式を可視化し, これまでと同等の表示が得られることを確認した.また, 本方法は4次元を超える原子軌道の角部分の可視化にも適用でき, 拡張性が高いことを確認した.

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© 2001 化学ソフトウェア学会
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