抄録
茶カテキン類として知られているC-3位にガレート基をもつ(-)-エピカテキンガレートおよび(-
)-エピガロカテキンガレートは、ガレート基を持たない茶カテキン類と比べホルムアルデヒドのC-6位またはC-
8位における求電子置換反応の反応性が高いことが知られている。そのため本研究では5種類の茶カテキンのヒド
ロキシメチル化反応について、半経験的分子軌道法による理論計算を行った。その結果、C-3位にガレート基を
導入することによりHOMOの振幅が反応位置(C-6位またはC-8位)で増加するため、ヒドロキシメチル化の反応性
が高まるという結果を得た。
茶カテキン類とホルムアルデヒドとの反応性を高めるためにはHOMOを不安定
化し、かつ反応位置でのHOMOの振幅を増大させる大きなπ電子系を持つ官能基の導入が有効であることが示唆さ
れた。