抄録
構造物の損壊に伴う不便益を考慮したジオグリッド補強土壁のライフサイクルコスト(LCC)の計算法を提 案する.提案法は,初期建設費,維持管理費,地震による災害リスクの和でLCCを評価する.このうち災害リ スクは信頼性解析法で計算される破壊確率と,災害損失費の積と定義し,各損失費の標準的な算定法を示した. 提案法に基づきジオグリッド補強土壁,L型擁壁,無補強盛土に対してLCCを計算した結果,ジオグリッド補 強土壁は交通量の大小や復旧区間の長さに関わらずLCCが最も小さいというアドバンテージを有することが明 らかになった.本文の内容は,IGS日本支部技術委員会第5ステージ(2010-2012)の成果の一部である.