寒冷地には,切土直後は比較的硬質で安定していても,数回の凍結融解によって凍結範囲が極端に脆弱化したり,剥落したりするような土質・岩質の斜面も存在する.そこで本研究では,砕石を充填したジオセルの上に不織布と砂質土を充填したジオセルを重ねたのり面保護工に断熱性能を付加した新たなのり面保護工を開発した.断熱対策の有無や緑化手法が異なる全5ケースの実大実験を行い,熱伝導解析によって各ケースにおける所定の凍結指数に応じた最大凍結深さを求めた.これらの結果から,砕石と緑化基盤とした砂質土の間に断熱材を設置することで,断熱対策と緑化を両立できることなどが明らかとなった.