ジオシンセティックス論文集
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37 巻
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研究開発論文
  • 太田 遥子, 永谷 太志, 澤田 豊, 河端 俊典
    原稿種別: 研究開発論文
    2022 年 37 巻 p. 1-8
    発行日: 2022/10/10
    公開日: 2022/12/26
    ジャーナル フリー
    近年,農業用水利施設の老朽化とパイプライン化を背景に,既設水路内に管路を埋設する事例が増えている.本研究では,既設水路内に埋設された圧力パイプライン屈曲部を対象に,水路壁のスラスト対策としての有効性を検討することを目的とした水平載荷模型実験を実施した.また,既設水路壁の状態に応じて,ジオグリッドにより水路壁を補強する工法についても検討した.実験結果から,水路壁を残存させた場合,管路に作用する水平抵抗力は増加することが明らかとなり,既設水路壁をスラスト対策として利用できる可能性が示された.また,水路壁の状態によりスラスト対策効果が期待できない場合にも,ジオグリッドを設置することで,水路壁が補強され,水平抵抗力の増加に繋がることが明らかとなった.
報告
研究開発論文
  • 竜田 尚希, 曽我 宣之, 日下 寛彦, 原 隆史
    原稿種別: 論文
    2022 年 37 巻 p. 13-18
    発行日: 2022/10/24
    公開日: 2022/12/26
    ジャーナル フリー
    地震に伴い発生する道路盛土のボックスカルバート境界部の路面の段差は,地震後の緊急車両等の通行を阻 害する観点から,道路盛土の耐震上の課題とされてきた.しかしながら,大量に存在する道路盛土を横断するボックスカルバートに対し,経済的な対策の検討が不十分なことから,未だ明確な対策方針が出されていない.そこで本研究では,既存工法である踏掛版と比較して,経済的となり得る可能性の高いジオテキスタイルを用いた対策工について,簡易な模型実験からそれぞれの対策効果の違いを視覚的に確認した.
  • 渡辺 真大, 小林 薫, 安原 一哉, 足立 雅樹
    原稿種別: 論文
    2022 年 37 巻 p. 19-24
    発行日: 2022/10/24
    公開日: 2022/12/26
    ジャーナル フリー
    既存の戸建住宅を対象とした液状化対策工法は比較的コストが高く,低コストな工法は未だ開発されていない.このことから,液状化層が厚い地盤上の戸建住宅を対象とした安価で且つ安全性の高い液状化対策工法の開発が求められている.そこで本研究では,端部を地盤に拘束した剛性の小さいジオテキスタイルを敷設する工法の開発を目的としている.本実験では,主に端部拘束したジオテキスタイルによるハンモック効果に着目し,適切に拘束する地盤の種類および端部の拘束方法に関して引抜き実験を行った.また,1G 場振動台模型実験を行い,ジオテキスタイル端部拘束による液状化時めり込み沈下量の抑制効果を検証した.
  • 岡嵜 進也, 吉田 裕佳, 桑野 二郎
    原稿種別: 論文
    2022 年 37 巻 p. 25-30
    発行日: 2022/10/24
    公開日: 2022/12/26
    ジャーナル フリー
    損傷した補強土壁をソイルネイルで補修した場合の有効性を調べるため模型実験を行った.ジオグリッド補 強土壁を一回傾斜させることで地震による損傷を模擬し,その後ソイルネイルによる補修を施してから,二度 目の傾斜実験を行った.実験の結果,損傷した補強土壁をソイルネイルで補修することによる耐震性の向上が 確認された.またソイルネイルの追加による耐震性の向上の効果はソイルネイルの長さ,補強土壁の損傷度合 いによって異なり,ソイルネイルはジオグリッドよりも長いものを使用し,補強土壁の損傷が小さい状態で補 修することで,ジオグリッドによる補強領域の背後に生じる垂直なすべり線の発生を抑え,高い補修効果が期待できることが分かった.
  • 野並 賢, 伊藤 修二, 鳥居 宣之
    原稿種別: 研究開発論文
    2022 年 37 巻 p. 31-38
    発行日: 2022/10/06
    公開日: 2022/12/26
    ジャーナル フリー
    本論文では軟弱地盤の沈下抑制対策のために実施される深層混合処理工法の補助工法として敷設されるジオテキスタイルの効果を,模型実験により検証している. 盛土が未改良地盤を押し込むモードを再現した室内土槽を作製し,ジオテキスタイルの敷設の有無による沈下特性の比較を行った.実験の結果,ジオテキスタイルが発揮する引張抵抗は盛土厚に比例して発生することを確認した.また,敷設した時の未改良部の鉛直土圧は敷設しない条件と比べ,ジオテキスタイルの破断強度や盛土のせん断抵抗角に拘わらず最大でも0.7倍程度に抑えられることがわかった.さらに,補強効果により地表面沈下量や盛土のゆるみを抑える効果が期待できることを示した.
  • 荒牧 憲隆, 新川 裕也, 平田 佐介, Batmunkh Enkh Orgil
    原稿種別: 研究開発論文
    2022 年 37 巻 p. 39-46
    発行日: 2022/10/24
    公開日: 2022/12/26
    ジャーナル フリー
    地盤での短繊維補強技術が発展してきており,土構造物への適用が多く進められる中で,短繊維補強土に使用する土質材料と繊維材料には,多種多様な組み合わせが存在する.本研究は,建設発生土や廃棄物を有効利用した耐浸食性を向上させた災害に強い人工地盤材料の開発を念頭に,まずは,新聞紙やポリプロピレン製繊維のリサイクル材を有効利用して,土質材料に短繊維を混合した補強土の力学特性や模型堤防による短繊維補強土の耐浸食性について検討することを目的としている.その結果,一軸圧縮試験より,締固め度が高くなるとともに,一軸圧縮強さへの繊維材の補強効果が大きくなった.また,越流試験の結果,流量,補強材によって堤防の決壊プロセスは異なるが,繊維混合によって堤防の耐越流浸食性が高くなることが認められた.
  • 瀬賀 達夫, 牧野 聖, 久保田 祐紀, 西岡 英俊, 平川 大貴
    原稿種別: 研究開発論文
    2022 年 37 巻 p. 47-54
    発行日: 2022/10/07
    公開日: 2022/12/26
    ジャーナル フリー
    本論文では,一体橋梁の桁部温度伸縮に伴う背面土圧増加現象に着目し,アルミ棒積層体模型地盤を用いて繰返し水平載荷を与える模型実験を行った.実験対象は,背面盛土をジオシンセティックス補強土としたGRS一体橋梁(ただし壁体と補強材は未定着)と補強土ではない通常の一体橋梁の2種類であり,繰返し水平変位を与える範囲を主働側のみ,主働側と受働側の両方(正負交番),受働側のみの3パターンとして,桁を一体化する季節の違いを模擬した.実験の結果,補強材の敷設だけでは桁部温度伸縮による背面土圧増加現象を完全に防止することはできないが,その影響を低減する効果は期待できることがわかった.また,補強材の有無によらず,繰返し載荷の受働側変位の割合が大きくなるほど,受働側変位時の土圧が大きくなることがわかった.
  • 川口 貴之, 中村 大, 松田 圭大, 中川 一真, DASHDONDOG Odkhuu, 原田 道幸, 川俣 さくら
    原稿種別: 研究開発論文
    2022 年 37 巻 p. 55-62
    発行日: 2022/10/07
    公開日: 2022/12/26
    ジャーナル フリー
    寒冷地には,切土直後は比較的硬質で安定していても,数回の凍結融解によって凍結範囲が極端に脆弱化したり,剥落したりするような土質・岩質の斜面も存在する.そこで本研究では,砕石を充填したジオセルの上に不織布と砂質土を充填したジオセルを重ねたのり面保護工に断熱性能を付加した新たなのり面保護工を開発した.断熱対策の有無や緑化手法が異なる全5ケースの実大実験を行い,熱伝導解析によって各ケースにおける所定の凍結指数に応じた最大凍結深さを求めた.これらの結果から,砕石と緑化基盤とした砂質土の間に断熱材を設置することで,断熱対策と緑化を両立できることなどが明らかとなった.
  • 宮本 慎太郎, 宮田 喜壽
    原稿種別: 研究開発論文
    2022 年 37 巻 p. 63-68
    発行日: 2022/10/11
    公開日: 2022/12/26
    ジャーナル フリー
    著者らは,災害時の緊急輸送道路および復旧道路構築のためのジオシンセティックス地盤補強技術について検討を行っている.本文では,鉛直載荷条件におけるジオセルの地盤補強メカニズムについて,模型実験より検討した結果を報告する.相対密度 50, 80 % の地盤における無補強とジオセル補強の 4 ケースの模型実験の結果として,模型地盤の荷重-沈下曲線とPIV法による変位場解析結果を示す.ジオセルによって,中詰め土の水平方向の変位が抑制されることで補強効果が発揮されることを明らかにする.
  • 原田 道幸, 川﨑 佑斗, 鈴木 聡, 小島 謙一, 川俣 さくら, 矢﨑 澄雄, 近藤 政弘
    原稿種別: 研究開発論文
    2022 年 37 巻 p. 69-76
    発行日: 2022/10/26
    公開日: 2022/12/26
    ジャーナル フリー
    著者らは,ジオセルと地山補強材を用いた盛土のり面工であるRRS工法の耐降雨性能を経済的に向上させることを目的に,遮水シートを併用して遮水性能を付加した遮水版RRS工法(RRS-s工法)の開発を進めている. 本報告では,実物大の盛土に対して遮水シートの接続(ラップ)部を含めた施工性および遮水効果の確認・評価を行うため,試験施工および土壌水分計による盛土のり面の水分量のモニタリングを実施した.その結果,接続(ラップ)部を含めて効率的な施工が可能であることを確認した.また,現時点までの比較的降雨量の多い時期である7か月間のモニタリング結果をもとに一定の遮水効果と課題を確認した.
  • 西 剛整, 鳥居 剛, 窪田 達郎, 京川 裕之, 古関 潤一, 小浪 岳治
    原稿種別: 研究開発論文
    2022 年 37 巻 p. 77-84
    発行日: 2022/10/24
    公開日: 2022/12/26
    ジャーナル フリー
    橋台背面にEPS盛土を用いた動的遠心模型実験の結果から,地震時にEPS盛土に用いるRCの中間床版と橋台の衝突によると考えられる大きな作用力が生じることが報告されている.本報は,この現象の確認と床版からの作用力による橋台への影響を評価するために実施した検証解析の結果を示したものである.解析はFEMにより,実験と同一スケールの三次元モデルを用いた動的解析とした.解析の結果,中間床版による橋台への作用力が発生するが,その発生時刻は橋台の背面側に慣性力が生じる時であることなど実験と同様の挙動が確認できた.また,橋台への作用の影響は土圧よりも慣性力によるものが大きいことや,中間床版からの作用力に対して床版の一部をEPS材に置換える対策の効果を確認した.
  • 園田 悠介, 澤田 豊, 伊川 千颯, 高原 源太朗, 河端 俊典
    原稿種別: 研究開発論文
    2022 年 37 巻 p. 85-92
    発行日: 2022/10/07
    公開日: 2022/12/26
    ジャーナル フリー
    管埋設時の管底側部は,狭窄で作業スペースが限られることから,十分な品質の埋戻しや締固めを確保することが困難な場合がある.不十分な埋戻し・締固めは,管に不測の変形や応力集中を引き起こす可能性がある.本研究では,管底側部の埋戻しの代わりに,土木材料として実績の多いEPSを管基礎として設置する方法を提案し,その有効性について,ポリエチレン管(内径300 mm)を用いた埋設模型実験により検討した.その結果,EPSの形状によっては,管底や管とEPSの接点でひずみが集中する傾向にあるものの,締固め不足により生じるひずみの集中と比較して顕著に小さく,管の破損につながる可能性は低いことから,EPSの管基礎としての有効性が示された.
  • 川﨑 佑斗, 原田 道幸, 鈴木 聡, 小島 謙一, 石垣 竜一, 川俣 さくら, 矢﨑 澄雄, 近藤 政弘
    原稿種別: 研究開発論文
    2022 年 37 巻 p. 93-98
    発行日: 2022/10/24
    公開日: 2022/12/26
    ジャーナル フリー
    盛土等の土構造物の耐震・耐降雨補強を目的に開発したRRS工法は,ジオセルと地山補強材を一体化させることにより,のり面工抵抗と引抜き抵抗で耐降雨性も含めた盛土構造物の安定を確保するものである.これに対して,現在開発を進めている遮水版RRS工法(RRS-s工法)は,ジオセルとのり面の間に遮水シートを敷設して,盛土への雨水の浸透を抑える効果(遮水性能)を付加するもので,従来のRRS工法よりも地山補強材量を少なくでき,より経済的な耐降雨対策工法とすることを目的としている.開発に際し,施工時に遮水シートに生じる不連続部(接続部,損傷部)の遮水性について検討するために,室内降雨実験およびその有限要素解析を行った.
  • 宮田 喜壽, 宮本 慎太郎
    原稿種別: 研究開発論文
    2022 年 37 巻 p. 99-104
    発行日: 2022/10/11
    公開日: 2022/12/26
    ジャーナル フリー
    本研究では,不織布系ジオテキスタイルの垂直方向透水性能を広範な水頭差条件で計測できる試験装置を考案し,その妥当性について実験的に検討した.さらに,高透水性多孔質体中の非ダルシー流れに対するIzbash則をベースにした透水性能の評価法について検討した.本文では,厚さの異なる 4 種類のジオテキスタイルについての実験結果を示し,一連の検討結果を示すと同時に,提案する評価法による透水パラメータとジオテキスタイルの厚さの関係について考察する.
  • 河村 隆, 梅崎 健夫, 井上 駿
    原稿種別: 研究開発論文
    2022 年 37 巻 p. 105-112
    発行日: 2022/10/07
    公開日: 2022/12/26
    ジャーナル フリー
    幅1.0 m×長さ1.5 mの不織布から切り取った40 mm×40 mmの供試体620枚に対して,単位面積質量,初期厚さおよび初期間隙比の不均一性について検討した.単位面積質量の分布から,不織布の透水性を評価する際の重要なパラメータである初期間隙比の分布を予測できる可能性が示唆されることを示した.次に,初期間隙比の正規分布を考慮して抽出した15枚の供試体に対して,段階載荷圧縮試験を実施した.各載荷段階における間隙比を正規分布と仮定して,圧縮過程における間隙比の信頼区間を求めた.さらに,620枚の初期間隙比の分布に対して,圧縮過程における不織布全体のeの分布状態の変化を視覚的に示した.
  • 小宮 哲平, 浜田 梨央, 島岡 隆行, 今井 道男, 小澤 一喜
    原稿種別: 研究開発論文
    2022 年 37 巻 p. 113-118
    発行日: 2022/10/07
    公開日: 2022/12/26
    ジャーナル フリー
    本研究では,遮水シートの温度分布推定ならびに漏水検知における光ファイバセンサの適用可能性を検討することを目的に,遮水シートが施された埋立地法面の模型に光ファイバを配線し,ブリルアン散乱光およびラマン散乱光を用いた光ファイバセンサによる温度計測を行なった.その結果,温度分布の再現精度については,前者の方が精度は高いものの,埋立地の規模と熱源の大きさを考慮すると,後者でも十分であると考えられた.また,法面における漏水検知については,漏水は法面の勾配方向に流下し,漏水の到達幅が狭いことを踏まえると,空間分解能が低いラマン散乱光では困難であり,空間分解能が高いブリルアン散乱光による計測が必要であること,さらに光ファイバの配線を法面の勾配方向に対して垂直にすることの有効性が示された.
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