2023 年 38 巻 p. 106-113
損傷した補強土壁をソイルネイルで補修した場合の有効性を調べるため模型振動台実験を行った.ジオグリッド補強土壁を壁面が所定の傾斜になるまで加振し地震による損傷を模擬し,その後ソイルネイルによる補修を施してから,二度目の振動実験を行った.実験の結果,損傷した補強土壁をソイルネイルで補修することによる耐震性の向上が確認された.またソイルネイルの追加による耐震性の向上の効果はソイルネイルの長さ,補強土壁の損傷度合いによって異なり,ソイルネイルはジオグリッドよりも長いものを使用し,補強土壁の損傷が小さい状態で補修することで,ジオグリッド補強領域の背後に生じる鉛直なすべり線の発生を抑え,高い補修効果が期待できることが分かった.振動台実験では,大きな損傷であっても十分な補修効果が得られた.