ジオシンセティックス論文集
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選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
研究開発論文
  • 野並 賢, 鈴木 美結, 伊藤 修二, 鳥居 宣之
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 1-8
    発行日: 2023/09/05
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    本論文では,深層混合処理地盤の補助工法としてジオテキスタイルを敷設することが経済的となる改良条件および地盤条件の傾向を,筆者らが提案する沈下予測式に基づいて示している.ジオテキスタイルの引張強度は,未改良部のジオテキスタイルに作用するせん断力に釣り合って発揮される改良部のジオテキスタイルのせん断力から求めた.目標沈下量に収まるような深層混合処理工法の改良率およびジオテキスタイルの仕様を試行的に求めた結果より,改良後の目標沈下量が小さいほど,また改良対象層の層厚が厚く,盛土のせん断抵抗角が小さいほど,ジオテキスタイルの敷設により工事費が抑えられることを示した.
  • 辻 慎一朗, 久保 哲也, 小嶋 啓介, 伊藤 雅基
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 9-16
    発行日: 2023/09/29
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    両面補強土壁は橋台へのアプローチ盛土に適用される場合があるが,地震時挙動や破壊形式が明確ではなく設計方法が確立されていない.そこで,本研究ではジオテキスタイルを用いた両面補強土壁模型に対する1G場の振動台模型実験を行った.実験では,両側の補強領域に挟まれた無補強領域の幅を変化させて補強土壁の地震時挙動と破壊形式を確認した.その結果,両側の補強領域が離れている場合はそれぞれの補強土壁は独立的な挙動と円弧すべりに近い破壊挙動を示し,盛土幅が狭く補強領域内でジオテキスタイルが干渉する場合は裏込め土のゆすり込み沈下が卓越する挙動を示した.本論文では,模型実験で確認された両面補強土壁の地震時挙動について報告し,両面補強土壁の破壊形式に基づいた安定計算の考え方を提案する.
  • 野本 太, 嶋田 宏, 花屋 剛, 大里 俊広, 岩佐 隆, 岸田 隆夫
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 17-24
    発行日: 2023/10/15
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    D・Box工法は,中詰材として砕石などを入れたD・Boxを地盤に設置し,転圧する事により地盤支持力を上げる工法である. これまで,D・Box施工後の地盤強度の確認についてはD・Box上面部での平板載荷試験や,落下式簡易支持力試験などにより確認してきた. 本研究ではD・Box設置前と設置後の地盤状態を,三成分電気式コーン貫入試験(以下CPT試験)により比較したところ, D・Box下部の地盤では,予想以上に深い範囲までその影響があり,支持力が増加している事を確認した。
  • 安藤 龍, 荒木 裕行, 平川 大貴
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 25-31
    発行日: 2023/09/29
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    上水道管等の埋設管屈曲部には構造上,スラスト力と呼ばれる水平方向の力が作用する.屈曲部に防護コンクリートを施して水平抵抗力を増やす対策が一般的であるが,この手法では地震により周辺地盤が液状化した際に安定性を欠くことがある.本研究では,スラスト力防護対策として屈曲部の外側地盤に蛇籠型受圧体を埋設する工法を対象とし,常時において埋設管に作用する水平抵抗力の増大効果を水平載荷実験により検討した.その結果,本実験条件では蛇籠型受圧体を設置することで水平抵抗力は倍増し,さらに水平抵抗力は明確なピ ークが生じず緩やかに増加傾向を示した.礫材をカゴ材で拘束した蛇籠型受圧体は載荷によりわずかに曲げ変形することで,蛇籠型受圧体の一体性が高まり,荷重をより広範囲の地盤に分散させると考えられる.
  • 松田 圭大, 川口 貴之, 橋本 聖, 林 啓二, 原 靖, 川端 伸一郎
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 32-39
    発行日: 2023/09/29
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    本論は,泥炭地盤上に計画高16 m程度の高盛土を構築する際の軟弱地盤対策として,グラベル基礎補強併用低改良率地盤改良工法を適用した時の動態観測結果を報告するものである.泥炭地盤上に盛土を構築しても,グラベル基礎補強体が改良体に支持された単純ばりのように盛土荷重を受け持つため,従来問題となっていた長期沈下や周辺地盤の変形を抑制できたと考える.また,盛土施工中および盛土完了後における周辺の地下水位に大きな変動が確認できなかった.以上より,本工法は泥炭地盤における盛土の安定対策や周辺地盤の変形抑制効果に加え,盛土周辺の地下水環境に与える影響も少ない,非常に有効な対策工であることを確認した.
  • 鍜冶元 雅史, 中村 大, 村上 悠一郎, 三鍋 佑季, 川口 貴之, 川俣 さくら
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 40-47
    発行日: 2023/10/16
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    本研究ではのり面を流下する表流水に対する植生シートの侵食防止効果を評価することに取り組んだ.実施した侵食試験は植生シートを敷設した供試体を作製し,その表面に水を流下させるというものである.また,侵食痕を観察する手法には,SfM(Structure from Motion)写真測量を採用した.試験結果から,植生シートには侵食量を大幅に低減し,侵食開始を遅延させる効果があることが確認できた.また,植生シートが表流水を拡散させるとともに流速を低減していることが明らかとなった.さらに,植生シートが表流水の土中への浸透を促進し,土を飽和させてのり尻付近から排出される浸透水量を増加させていることもわかった.
  • 三鍋 佑季, 川口 貴之, 安達 謙二, 岩崎 凌子, 工藤 貴大
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 48-55
    発行日: 2023/09/30
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    筆者らはこれまで,補強土壁における施工時の品質管理や竣工後の健全性評価に関する諸問題を解決する足掛かりとして,アンカー補強土壁が有する構造的な特徴を生かし,補強材中にあるターンバックルの回転トルクを用いた施工時の品質管理手法や,壁表側で連結した補強材を用いた竣工後の健全性評価手法について検討してきた.本研究では,これらの手法をジオテキスタイル補強土壁にも拡張し,施工中や竣工後に補強材の引抜き抵抗力を計測しうるシステムの開発と,その検証を目的とした実大実験を行った.その結果,小型のL型擁壁と丸鋼に連結したジオグリッド片を補強土壁内に設置することで,斜壁である鋼製枠補強土壁であっても,施工中や竣工後に補強材の引抜き抵抗力を計測し,設計値と比較できることが分かった.
  • 小田 哲也, 澤田 豊, 前田 真宏, 野村 純数, 福永 隼也, 泉 明良, 堀 俊和
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 56-61
    発行日: 2023/10/26
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    全国の農業用ため池において,老朽化や耐震性不足等により,集中的かつ計画的に整備を進めることが喫緊の課題となっている.ため池堤体改修は遮水性土質材料を用いることが主流であるが,代替としてベントナイト系遮水シートを用いた工法も増加傾向にある.しかしながら,後者の工法に関する設計手法が確立されていない.本論文では,ため池堤体の安定性検討手法を確立するため,ベントナイト系遮水シート上流側覆土の安定性について,既往研究で提案された計算方法と従来の方法を組み合わせた手法を提案するとともに,実在ため池を対象に当設計手法を検証した.その結果,計算方法によって水位や水平震度が安全率に及ぼす影響が異なることが明らかとなり,計算方法を組み合わせることの妥当性が示された.
  • ラ アウン, 劉 爽, 久保 幹男, 成島 誠一, 荻野 宏治
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 62-68
    発行日: 2023/10/15
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    ジオセルは展開するとハニカム構造の軽量枠となる高密度ポリエチレン製の立体補強材であり,一般に砕石や現地発生土をセル(枠)内に充填して利用されている.ジオセルは軟弱地盤上の路盤補強として多く使用されているが,未だ補強効果を発揮するメカニズムは未解明の部分が多い.本論文は,ジオセルによる路盤補強効果を 300mm の平板載荷試験を 6 ケース実施して調べた.次に駐車場の支持力確保のために大型トラックの後輪荷重及びタイヤの接地半径から,ブーシネスク式によりジオセル補強による路盤の最小改良厚さを求めた.それに基づきジオセル路盤補強の実施工を行い,ジオセル路盤補強の実際の効果を 750mm の平板載荷試験にて確認した.その結果,ジオセル路盤補強効果の補正係数に関する知見が得られた.
  • Kabish TANDUKAR, 岡嵜 進也, 津野 佑介, 桑野 二郎
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 69-76
    発行日: 2023/10/26
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    本研究では、地震動を受けたジオグリッド補強土壁の裏込め部における沈下を、損傷度の指標とすることを考え検討を行った。ジオグリッドの剛性とジオグリッドの長さを変化させた模型ジオグリッド補強土壁に対して、一連の振動台試験を実施した。裏込め部上部の沈下量は、LiDAR を使用して測定した。沈下量とともに、補強土壁壁面パネルの傾斜や裏込め部の最大せん断ひずみについても検討を行った。大きな沈下は、決まって補強領域ブロックの背面で生じた。裏込め部の沈下特性を表すパラメータとしては、特定個所の最大沈下量よりも補強土壁全体の変形と関連する沈下面積の方が、補強土壁の損傷度をより適切に表すことが示された。本研究の範囲では、正規化(壁高の 2 乗で無次元化)された沈下面積が約 2% に達すると、補強土壁はそれ以上の振動には耐えられず崩壊に至ることが示された。
  • 平川 大貴
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 77-82
    発行日: 2023/10/14
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    破砕コンクリートの(再生)盛土材としての幅広い活用を目指して,ジオグリッド補強土技術の適合性を調べた.平面ひずみ圧縮試験等の種々の室内試験を実施して検討した結果,破砕コンクリートは補強土技術との親和性が高いことを確認した.天然の砂礫材と同様に,破砕コンクリートにおいても締固め度Dc値に基づく品質管理方法を適用できる.しかしながら,道路盛土で一般的に設定されるDc=90%(1.0Ec)の締固め状態は破砕コンクリートにおいては強固な土骨格を実現しているとは言い難く,良好な補強効果を得るためには設定Dc値を大きくするなど入念な締固めを行う必要がある.
  • 秋光 萌生, 佐藤 研一, 磯部 有作, 弘中 淳市, 若林 祐一郎, 島崎 勝
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 83-90
    発行日: 2023/10/24
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    日本において120万kmを超える膨大なストック量であるアスファルト(以降,Asとする)舗装のライフサイクルコストを削減することは,維持管理していくうえで重要な課題である.そこで本研究では,ジオシンセティックスを路盤内に敷設し,路盤補強効果によるAs舗装の長寿命化対策に向けた提案を目的に検討を行っている.そこで本報告では,室内モデル実験が可能である,均質な砂地盤内におけるジオシンセティックスの効果についての挙動を捉えることから始めた.ジオシンセティックスの摩擦特性試験および珪砂の三軸圧縮試験から各材料特性を把握し,小型土槽を用いた載荷試験とFEM解析を用いて,モデル実験と解析の両面からジオシンセティックス敷設による路盤の支持力補強効果について検討した.その結果,土中にジオシンセティックスを敷設することより支持力が増加することを確認できた.
  • 篠田 昌弘, 原田 崚吾, 加藤 哲志, 辻 慎一朗, 久保 哲也, 宮田 喜壽
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 91-97
    発行日: 2023/09/21
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    2011年5月に上陸した台風2号により補強土壁が崩壊した.崩壊形態は補強材の破断を伴う内的破壊であった.崩壊発生の原因は,降雨時に盛土内の背面水位が上昇して,補強領域内部に過大な水圧が作用したため,補強材が破断して,安定性が低下したためであると推定されている.本研究では,この推定を数値解析的アプローチにより検証を行った.補強土壁背面盛土の崩壊前の含水状態を把握するため,二次元浸透流解析を実施して,崩壊前からの降雨履歴を作用させて,崩壊直前の盛土の背面水位を求めた.その後,安定解析により補強土壁の安全率を求めた.その結果,2011年5月の大雨により盛土の背面水位が上昇して,安定性が低下したことを数値解析的に明らかにした.
  • 石藏 良平, 草野 陸, 安福 規之, 辻 慎一朗, 板垣 聡
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 98-105
    発行日: 2023/10/30
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    マットレス補強工法は,軟弱地盤上に構造物を建設する際の支持力改善や不同沈下低減等を目的として,日本国内において広く普及している.近年,狭隘な土地でのマットレス補強工法の適用が求められており,載荷幅に対する最適なマットレスの敷設幅の決定方法が,実務上重要な課題となっている.本論文では,アルミ棒積層体を用いた載荷試験により,所定の載荷幅に対して,マットレスの敷設幅や厚さを変化させた条件下におけるマットレス補強地盤の支持力特性の把握を行った.さらに,補強材の引張抵抗や画像解析による模型地盤内の変形挙動も合わせて計測することで,マットレス補強地盤の支持力発現メカニズムを考察した.最後に,従来の設計法にマットレス効果の低減係数の考え方を導入した新たな支持力評価式を用いて,マットレス補強地盤の支持力を計算し,模型実験結果との比較を行った.
  • 岡嵜 進也, Tandukar Kabish, 桑野 二郎
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 106-113
    発行日: 2023/11/06
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    損傷した補強土壁をソイルネイルで補修した場合の有効性を調べるため模型振動台実験を行った.ジオグリッド補強土壁を壁面が所定の傾斜になるまで加振し地震による損傷を模擬し,その後ソイルネイルによる補修を施してから,二度目の振動実験を行った.実験の結果,損傷した補強土壁をソイルネイルで補修することによる耐震性の向上が確認された.またソイルネイルの追加による耐震性の向上の効果はソイルネイルの長さ,補強土壁の損傷度合いによって異なり,ソイルネイルはジオグリッドよりも長いものを使用し,補強土壁の損傷が小さい状態で補修することで,ジオグリッド補強領域の背後に生じる鉛直なすべり線の発生を抑え,高い補修効果が期待できることが分かった.振動台実験では,大きな損傷であっても十分な補修効果が得られた.
  • 松丸 貴樹, 佐藤 武斗, 伊藤 壱記, 阿部 慶太
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 114-121
    発行日: 2023/10/24
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    近年,降雨で鉄道盛土に被害が受ける事例が増加しており,列車の運行再開を急ぐ場合には応急復旧が行われ,大型土のうを用いた復旧構造が採用されることが多い.しかしながら,大型土のうでの応急復旧盛土を対象とした安定や沈下に対する検討は十分にはなされていない.本研究では,本構造を対象として,模型盛土に対する降雨散水・載荷試験による列車運行再開時を想定した列車荷重の載荷に対する安定の検討,および繰返し載荷試験よる累積沈下特性に関する検討を行ったところ,土のう直下地盤の支持性能や排水性を確保できれば列車運行再開時の安定を満足できることや,累積沈下の発生を抑制できることがわかった.また,土圧に関するつり合い検討によって土のうの積層に対する安定を評価可能であり,盛土高さや水位・盛土材料の強度特性に応じた応急復旧構造を解析的に示した.
  • 倉上 由貴, 髙木 翔太, 中島 進, 小浪 岳治, 山下 喜央
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 122-129
    発行日: 2023/10/30
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    補強材の配置間隔が補強盛土の施工時安定性に与える影響を把握するため,試計算ならびに実物規模の試験施工を実施した.さらに,狭隘な箇所での施工を想定して,補強盛土背面側から剛壁面を構築する背面施工法を提案し,本試験施工にて提案構造の実現性を確認した.試計算・試験施工の結果,補強材の鉛直方向の配置間隔は0.6m程度までの間隔であれば,施工時安定性の確保が可能であることが確認された. 足場を設置しない背面施工を想定し,壁面型枠と補強盛土部を同時に施工する工法として,軽量な埋設型枠と,外型枠固定用部材として開発した沈下許容部材を使用し,試験施工により背面施工の実現性を確認した.
  • 井塲 道夫, 島岡 隆行, 中山 裕文
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 130-134
    発行日: 2023/10/15
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    本論文では,採取したサンプルおよび超促進暴露試験後のサンプルの引張試験の結果をもとに,遮水シートの指数関数モデルによる劣化予測のための耐久性評価式を構築し提案している.2009年および2018年に,遮水 シートが施工されて約20年以上が経過した埋立地より127サンプル採取を実施した.また,長期劣化予測のために、採取したサンプルの一部をメタルハライドランプ式耐候性試験機を使用し,超促進暴露試験を実施した. 提案した評価式は,遮水シートの引張特性保持率を実務的に評価することが可能であることが統計的に示された結果について報告する.
  • 河村 隆, 梅崎 健夫
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 135-141
    発行日: 2023/10/23
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    上載圧が負荷した状態における不織布の垂直方向の透水性を評価するために,厚さ制御型垂直方向透水試験装置を新たに作製した.まず,ガラスビーズとPVAスポンジに対する透水試験を実施し,試験装置の有効性の検証を行った.次に,40 mm×40 mmに切断した不織布1,240枚から初期状態の不均一性を考慮して抽出した供試体に対して,垂直方向透水試験を実施した.得られた結果に基づいて,上載圧が負荷した状態における垂直方向透水係数kVは,間隙比のみを用いて推定できることを示した.さらに,1,240枚の初期間隙比の分布に基づいて圧縮過程における透水係数の分布を示し,圧縮応力がp=8 kN/m2からp=553 kN/m2に増加すると,kVは1/10程度に減少すること,各圧縮応力におけるkVの最大値と最小値の比は約2倍程度であることも示した.
  • 井上 駿, 河村 隆, 梅崎 健夫
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 142-149
    発行日: 2023/10/20
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    不織布ロール(1.0 m×3.0 m)から切り取った供試体(40 mm×40 mm)計1,240枚から,初期の不均一性を考慮して供試体を抽出し,p=4~553 kN/m2の5種類の圧縮応力に対して30日間の長期圧縮クリープ試験を実施した.得られた結果と既往の段階載荷圧縮試験の結果に基づき,信頼区間を考慮した不織布の長期圧縮特性の定式化を行った.その結果を用いて,長期圧縮過程におけるe~log p関係を示し,圧縮応力が大きいほど間隙の減少割合が大きいが,ある程度の空隙は保たれていることを示した.さらに,不織布(1.0 m×3.0 m)の間隙比eの分布状態のばらつきとその変化を視覚的に示した.
  • 宮本 慎太郎, 宮田 喜壽
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 150-155
    発行日: 2023/09/21
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    著者らは,災害時の緊急輸送道路および復旧道路構築のためのジオシンセティックス地盤補強技術について検討を行っている.本文では,移動載荷条件におけるジオセルの地盤補強メカニズムについて,剛性車輪の移動載荷模型実験より検討した結果を報告する.相対密度 50 % の地盤における無補強とジオセル補強ケースの模型実験の結果として,車輪の沈下量,車輪に作用する水平荷重,模型地盤に作用する鉛直荷重の結果を示すとともに,PIV法によって変位場を解析した結果を示す.ジオセルによって,中詰め土の水平方向の変位が抑制され,沈下量を抑制できることを実験的に明らかにした.
  • カメリ チャラン, 渡邉 健治
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 156-163
    発行日: 2023/10/20
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    近年,特に日本の鉄道分野においてGRS橋台やGRS一体橋梁等,橋桁を直接支持するジオシンセティックス補強土構造物が多く適用されている.このように作用外力が大きく,許容変位量が小さい構造物に対しては,強度だけでなく剛性も高いジオシンセティックスを適用することが重要となる.しかしながら,土中に敷設されたジオシンセティックスの引抜剛性(土中引抜剛性,J)を設計で直接考慮することは一部を除いて一般的ではなく,安全側への配慮として気中引張試験で求めた剛性(気中引張剛性,E)を用いる場合が多い.本研究では載荷履歴・載荷速度を統一した土中引抜試験・気中引張試験を系統的に行い,土中引抜剛性に及ぼす地盤材料の剛性,拘束圧および気中引張剛性の影響について評価した.
  • 荒木 大空, 山中 光一, 峯岸 邦夫, 平野 晧大
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 164-169
    発行日: 2023/10/16
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    ジオセルは,格子内に充填された地盤材料を拘束することで版状体を形成し,敷設した地盤の支持力増加や地盤内に発生する応力を低減することが可能であることから,路床へ伝搬する荷重を軽減させる役割を担っている路盤への利用が期待できる.しかし,その補強メカニズムには未解明な部分が多いのが現状である.そこで本研究では,ジオセルの敷設が地盤内の応力分散範囲の変化に与える影響を把握するため,EPS板を敷設した模型地盤に対し載荷試験を行い,試験後に取り出したEPS板の変形を計測することで,地盤内の応力分散範囲を把握し,ジオセル敷設が応力分散範囲へ与える影響について考察した.
  • 西田 汐音, 村中 隆之介, 乾 徹, 緒方 奨, 板谷 裕輝
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 170-177
    発行日: 2023/10/14
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    近年,掘削工事により大量に発生する建設発生土の有効利用が促進されている.特に自然由来重金属を含有する土壌の再利用には,重金属吸着能を有するジオシンセティックス材を掘削物の下に敷設する工法が提案されている.本研究では,重金属吸着能を有する不織布を対象に,バッチ試験及びカラム試験を実施し,固液接触時間,吸着材の水和反応,土壌の目詰まり影響,上載荷重の影響を考慮してひ素・鉛の吸着性能を評価した.結果より,吸着性能は各種要因に起因する固液接触時間の違いに大きく依存すること等が明らかになった.またバッチ試験結果に基づき,吸着速度に応じた吸着量を推定し,カラム試験結果と比較すると,簡易的なバッチ試験による推定では吸着性能が過大評価される恐れがあることが明らかになった.
報告
  • 篠田 昌弘, 竜田 尚希, 木幡 行宏, 桝尾 孝之
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 178-185
    発行日: 2023/08/28
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    ジオシンセティックスには様々な種類の材料が存在し,機能(補強,排水,分離,ろ過,遮水,形状安定,空間の確保)と種類に応じた材料試験方法が存在する.ジオシンセティックスの機能を評価するため,国際規格では一部の試験法が制定されているものの,国内では標準化されていない試験法がある.我が国の実情に鑑み,よく利用される国際規格は,国内で十分に審議を行い,国内規格として標準化する必要がある.本報告では,国内外のジオシンセティックス規格の整理・分析と,今後の国内標準化戦略について述べる.
  • 内田 裕之, 吉田 朋広, 田中 哲也, グエン ホークアン
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 186-192
    発行日: 2023/10/10
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    本論文(報告)は,フィリピン国にて初めてRRR盛土補強土擁壁を適用した当該工事の実施状況を報告するものである.当該対象工法は,ODAの有償資金協力対象案件(STEP案件)であり,既設高速道路下に計画されている本線部の盛土,車両基地から本線に繋がる分岐線部及び車両基地外周擁壁工事の軌道近接範囲の盛土に適用されている.施工着手前に検討した事項や写真を用いた状況報告に基づき,今後の改善・要望点について述べている.
  • 関下 啓誠, 鍋嶋 靖浩, 石井 大悟, 横山 美憲, 川岸 靖, 加藤 雅大, 津川 欽矢, 椛澤 竜生, 竹山 正樹, 中下 真吾, 関 ...
    原稿種別: 研究開発論文
    2023 年 38 巻 p. 193-197
    発行日: 2023/10/09
    公開日: 2023/12/18
    ジャーナル 認証あり
    本研究の目的は太陽光発電ベースマット工法における支柱の支持性能を実物大実験により確認し,設計に反映させることである.太陽光発電ベースマット工法(以下PVベースマット工法)とは法面へ太陽光発電システムを設置する場合に従来使用している杭基礎やコンクリートブロック基礎の代わりに採用する工法である.PVベースマット工法は布製型枠という化学繊維の袋体にモルタルを注入することで太陽光発電システムの基礎を構築できるため,従来工法と比較して簡易に基礎を構築することが可能になる.実験により支柱への静的載荷試験による耐荷重の設定を確認することができた.
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