2023 年 38 巻 p. 114-121
近年,降雨で鉄道盛土に被害が受ける事例が増加しており,列車の運行再開を急ぐ場合には応急復旧が行われ,大型土のうを用いた復旧構造が採用されることが多い.しかしながら,大型土のうでの応急復旧盛土を対象とした安定や沈下に対する検討は十分にはなされていない.本研究では,本構造を対象として,模型盛土に対する降雨散水・載荷試験による列車運行再開時を想定した列車荷重の載荷に対する安定の検討,および繰返し載荷試験よる累積沈下特性に関する検討を行ったところ,土のう直下地盤の支持性能や排水性を確保できれば列車運行再開時の安定を満足できることや,累積沈下の発生を抑制できることがわかった.また,土圧に関するつり合い検討によって土のうの積層に対する安定を評価可能であり,盛土高さや水位・盛土材料の強度特性に応じた応急復旧構造を解析的に示した.