2023 年 38 巻 p. 170-177
近年,掘削工事により大量に発生する建設発生土の有効利用が促進されている.特に自然由来重金属を含有する土壌の再利用には,重金属吸着能を有するジオシンセティックス材を掘削物の下に敷設する工法が提案されている.本研究では,重金属吸着能を有する不織布を対象に,バッチ試験及びカラム試験を実施し,固液接触時間,吸着材の水和反応,土壌の目詰まり影響,上載荷重の影響を考慮してひ素・鉛の吸着性能を評価した.結果より,吸着性能は各種要因に起因する固液接触時間の違いに大きく依存すること等が明らかになった.またバッチ試験結果に基づき,吸着速度に応じた吸着量を推定し,カラム試験結果と比較すると,簡易的なバッチ試験による推定では吸着性能が過大評価される恐れがあることが明らかになった.