2023 年 38 巻 p. 40-47
本研究ではのり面を流下する表流水に対する植生シートの侵食防止効果を評価することに取り組んだ.実施した侵食試験は植生シートを敷設した供試体を作製し,その表面に水を流下させるというものである.また,侵食痕を観察する手法には,SfM(Structure from Motion)写真測量を採用した.試験結果から,植生シートには侵食量を大幅に低減し,侵食開始を遅延させる効果があることが確認できた.また,植生シートが表流水を拡散させるとともに流速を低減していることが明らかとなった.さらに,植生シートが表流水の土中への浸透を促進し,土を飽和させてのり尻付近から排出される浸透水量を増加させていることもわかった.